
首藤 淳哉
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『おべんとうの時間がきらいだった』弁当に映し出された人生、ほろ苦い大人のエッセイ
2020年07月18日近年、ブログやSNSに自作弁当の写真を載せる人が増え、弁当がブームになったことは記憶に新しい。だがブームになるほど著者は居心地の悪さを感じたという。弁当と愛情がいつもワンセットで語られるからだ。本当にそう単純なものだろうか。「弁当ブーム」の先……more
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『ポスト・スポーツの時代』いま、私たちが
見ているのは、これまでとは違う「スポーツ」だプロスポーツの試合が再開され、スタジアムに観客も戻ってきた。だが野球もサッカーもすっかり様変わりしてしまった。withコロナ云々を言いたいのではない。もちろんそれもあるが、実は今回のコロナ禍以前に、野球もサッカーも大きく変質していたのだ。いま……more
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『ルポ百田尚樹現象』私たちが知りたかった「社会の見取り図」がここにある!
いつの頃からか書店の棚に「反日」や「愛国」を打ち出した本ばかり並ぶようになった。百田尚樹はその棚の常連である。ネットでもその存在感は大きい。「百田尚樹」は、いまやその固有名を超えて、ひとつの「現象」だ。本書はこの「百田尚樹現象」とは何かを解き……more
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『建築の東京』東京はどこへ向かうのか、建築から見えてくる未来
2020年06月13日鴨長明の『方丈記』には、有名な「ゆく川の流れは」の後に、次のようなことが書かれている。美しい都で競い合うように並んでいた建物も昔からあるものはまれだ。火事で新しくなったもの、没落して小さな家になったものなど、同じものはない、と。 鴨長明……more
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彼女はいったい何者なのかー。『女帝 小池百合子』
この2ヶ月間、彼女を見かけない日があっただろうか。テレビや新聞やネットで私たちは毎日のように彼女の姿を目にし、彼女が語る言葉に耳を傾けてきた。誰もが彼女の顔と名前を知っている。だが本書を読んだ後は、奇妙な感覚にとらわれるに違いない。彼女のこと……more
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『性転師』知られざる性転換ビジネスの裏方
「アテンド業」の実態に迫る「性転師」とは、性別適合手術を受けるために海外に渡航する人を手助けする「アテンド業」に携わる人々を指す。もちろん正式な職業名ではない。本書の造語だ。 「師」という字から、詐欺師や地面師のような怪しげな仕事を連想するが、著者はこの言葉に、医療……more
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超常現象も秘密結社も超古代文明もすべてあります!
創刊40年の歩みを詰め込んだ『ムー ビジュアル&アート集』本書はあの!月刊『ムー』のビジュアル&アート集である。『ムー』は昨年創刊40周年を迎えた日本屈指のミステリーマガジン。本書では1979年の創刊から2019年12月号までの表紙が一望のもとに並べられ、「ムー文化人」たちの愛情あふれるコメントが紙……more
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『宿無し弘文』ジョブズが師と仰いだ日本人僧侶の生涯
2020年05月04日スティーブ・ジョブズがなぜ禅に傾倒していたのか、ずっと疑問だった。かの有名なスタンフォード大学でのスピーチ(「ハングリーであれ、愚直であれ」)にしても、昔から禅が説いてきたことそのものだという。ジョブズはいったい禅のどんなところに惹かれたのだ……more
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『現代経済学の直観的方法』アフターコロナすら見通せる、現代経済学の最良のテキスト
2020年05月02日著者の手法は、難解な概念の核心部分を、大胆なイメージ化によって直観的に理解させるというものだ。ベクトル解析やフーリエ変換といった数学の「難所」につまずいた学生たちから「目からウロコが落ちた」「初めて腑に落ちた」と絶賛の声が相次いだというのもう……more
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『銀河の片隅で科学夜話』「勉強しない子どもたちにイライラし通しの妻が、この本を読んでとても優しくなったんですよね」(※個人の感想です)
長引く一斉休校。そしていつまで続くかわからない在宅勤務の日々。朝から晩まで顔をあわせる妻と子どもたちの間では、このところ諍いが絶えない。勉強せずに遊んでばかりいる子どもにイライラを募らせる妻。荒んだ空気が家の中を支配し始めた。そんな我が家の緊……more
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『「間合い」とは何か』日本流ソーシャル・ディスタンスの研究
いまや「ソーシャル・ディスタンス」という言葉を聞かない日はない。「社会的距離」などと直訳されるけれど、ちょっと芸がないなぁと思う。だって日本語にはもともと「間合い」という言葉があるからだ。実際この言葉には豊かな意味合いが含まれている。本書はそ……more
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『DOPESICK アメリカを蝕むオピオイド危機』鎮痛薬が人々の命を奪う、恐るべき薬物汚染の実態
2020年03月28日本書は、オピオイド禍の震源となったバージニア州西部のアパラチア地方で何が起きていたのかを、地元紙の記者だった著者が克明につづったドキュメントである。アメリカ社会をむしばむ恐るべき薬物汚染の実態を伝える一冊だ。…more
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『野球と暴力』「暴力なし」でも強くなれる!
もし職場で上司が部下を殴ったら、普通の会社では大問題になる。だが野球界ではなぜか「愛のムチ」などという名で暴力が許される。そこには「強くなるには厳しい指導が必要」と暴力が肯定される風潮すらある。なぜ暴力を根絶できないのか。「暴力なしで強くなる……more
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『イージス・アショアを追う』国の防衛政策を徹底検証、地方新聞の戦いの記録
2020年02月22日イージス・アショアは、地上配備型のミサイル迎撃システムである。本書は、この最新の防衛装備の配備計画をめぐる秋田魁新報の足かけ2年にわたる報道をまとめたものだ。一連の報道は19年度の新聞協会賞を受賞した。人員やネットワークで全国紙に遠く及ばない……more