
冬木 糸一
-
悪魔のように邪悪な組織vsイタリア系のシャーロック・ホームズ──『ブラック・ハンド──アメリカ史上最凶の犯罪結社』
2018年11月05日ブラック・ハンドという凶悪な犯罪結社が19世紀から20世紀にかけて存在した。彼らの主たる構成員はイタリアからアメリカへと移住した移民たちで、ブラック・ハンドというのは単一の組織への名称ではなく、小規模なものから大規模なものまで含めた、複数のギ……more
-
想像できないものを想像する──『見知らぬものと出会う: ファースト・コンタクトの相互行為論』
2018年10月25日我々人類はいまだ宇宙人、異星の生命体というものに出会ったことがないので、もしそういった存在と出会ったときに何が起こるのかは想像を広げていくほかない。しかし我々はそんな存在に出会ったことがないわけなので、最初に「会ったこともない相手をどのように……more
-
失われた技術を復元する──『ジャイロモノレール』
2018年10月05日本書はジャイロモノレールについての概説書である。ジャイロモノレールとはレールが一本の鉄道の名称である「モノレール」にジャイロ効果を利用した安定性を付与したものになるが、20世紀のはじめに開発され、その後大戦に突入したことで開発は中断。そのまま……more
-
「時間」そのものに興味がある人すべてにオススメしたい──『タイムトラベル 「時間」の歴史を物語る』
2018年09月05日というわけで本書は、「タイムマシン」や「タイムトラベル」という概念がなぜそれ以前には生まれなかったのか、またそれ以前の「時間」の捉え方はどういうものだったのか。タイムマシンが生み出された時、人々はどのような反応を持って受け入れ、その後時間観と……more
-
古典文学やベストセラーを統計を通して分析する──『数字が明かす小説の秘密』
2018年07月25日小説を評する、分析するといえば基本的には一人の人間が精読することによってそこで用いられている技法や、他の作品との関連、歴史的な意義などをあぶり出していく行為のことである。だが、それだけではなく、統計を通して語句の使用頻度、プロットの盛り上がり……more
-
あなたはなぜ特定の色を好むのか?──『好き嫌い―行動科学最大の謎―』
2018年06月28日その違いはなぜ生まれてたのだろうか? 食べ物に関してはアレルギーなどがあるだろうが、そうでない場合は何が関係しているのか? 育ってきた環境の違いか、進化論的に脳に組み込まれている? 日々の選択は現在、未来の嗜好にどのような影響を与えていくのだ……more
-
自然と全力で格闘する科学者たちの姿『生物模倣――自然界に学ぶイノベーションの現場から』
生物模倣、バイオミミクリーという用語がある。 これは端的にいってしまえばアリやハチが生来持っている、生物が進化の果てに築き上げた独自の機能、人間とは異なる知能を研究し、デザインに取り込もうという考え方のことである。本書では、そうしたバイ……more
-
九歳でロケット、十四歳で核融合炉を作った「天才」──『太陽を創った少年』
彼は核融合炉を作り上げるだけで止まらずに、そこで得た知見と技術を元に兵器を探知するための中性子を利用した(兵器用核分裂物資がコンテナなどの中に入っていると、中性子がその物質の核分裂反応を誘発しガンマ線が出るので、検出できる)、兵器探知装置をつ……more
-
うつに殺されないために──『#生きていく理由 うつヌケの道を、見つけよう』
2018年04月25日本書『#生きていく理由 うつヌケの道を、見つけよう』は、小説『今日から地球人』などの著作もある作家のマット・ヘイグが、自身が陥ったうつ病と不安神経症。そこからどうやって生き延びてきたのかを綴った自伝的エッセイである。そもそもどのようにしてうつ……more
-
宇宙に行くならまずこれを読んでからにするべし──『太陽系観光旅行読本:おすすめスポット&知っておきたいサイエンス』
2018年04月05日最近の人類は当たり前のように未来に生きているのでもうみんな宇宙旅行とかにガンガン行っていると思うのだけれども、そうした時に必要になるのが本書『太陽系観光旅行読本:おすすめスポット&知っておきたいサイエンス』である。月や彗星、火星に金星、はては……more
-
遺伝子の差はどれだけの不平等を産んでいるのか『ゲノムで社会の謎を解く――教育・所得格差から人種問題、国家の盛衰まで』
2018年03月23日双子研究を筆頭に、遺伝子が我々の身体的特徴だけではなくIQや統合失調症などの病気といった数々の要因に深く関連していることがわかってきている。が、そうであるならば遺伝子についての知見を深めることによって政策レベルで活かす──介入したほうがいい人……more
-
まるで上質なミステリィのようなノンフィクション──『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』
2018年02月05日本書『死体は嘘をつかない 全米トップ検死医が語る死と真実』は、45年に渡って検死医として働き、数々の有名な犯罪事件の調査にも関わった著者が語る検死の物語。正直いって最初は「地味そうな話だなあ」と思っていたものの、読み始めてみれば意外や意外、取……more
-
オリンピックに翻弄されたくなければ読むべし──『オリンピック秘史: 120年の覇権と利権』
2018年01月31日本書『オリンピック秘史: 120年の覇権と利権』は、そもそも現代のオリンピックがスタートした瞬間からはじまって、オリンピックの歴史を追うことで、その経済的効用、開催することによる利益とリスク、裏側でどのような陰謀や金が渦巻いているのか──とい……more
-
お猫様にもっと奉仕するために、その歴史と生態を知る一冊──『猫はこうして地球を征服した 人の脳からインターネット、生態系まで』
2018年01月05日いったいネコの何が人間をそこまで惹きつけるのだろうか。犬は狩りもすれば防犯にも役にたち、飼い主が苦しんでいれば寄り添って慰めてくれる。お座りだろうがお手だろうがちょちょいのちょい。一方、ネコはどうだ。お手ができるネコが現れれば奇跡のような扱い……more
-
あなたがたった今、これを読んでいるという途方もないありえなさ──『生命進化の偉大なる奇跡』
2017年12月25日本書『生命進化の偉大なる奇跡』はイギリスの解剖学者・人類学者であるアリス・ロバーツによる、人類進化の中でも特に解剖学・発生学を中心としたサイエンス・ノンフィクションだ。彼女はBBCで人類進化をテーマとしたいテレビシリーズにも出演していたり、幅……more