
出口 治明
-
『総力戦 (現代の起点 第一次世界大戦 第2巻)』by 出口 治明
2014年07月25日このほど、岩波の「現代の起点 第一次世界大戦」全4巻が完結した。第1巻は世界戦争、2巻は総力戦、3巻は精神の変容、4巻は遺産、と名付けられ、夫々約10編の論文から構成されている。今年はサラエボの銃声からちょうど100年、いかにも岩波らしいオー……more
-
『「枕草子」の歴史学 春は曙の謎を解く』by 出口 治明
2014年07月15日本が本を呼ぶ、とでもいうのだろうか。「源氏物語」に引かれて、面白い「枕草子」に出会った。内大臣が当時としては貴重な紙を一条天皇と中宮(定子。以下、宮)に献上した。天皇は史記をその紙に書くという。そこで宮は清少納言(以下、少納言)に、こちらは何……more
-
『「音楽の捧げもの」が生まれた晩: バッハとフリードリヒ大王』by 出口 治明
クラシックが好きな人間なら、バッハの「音楽の捧げもの」という名曲を少なくとも一度は聞いたことがあるはずだ。この曲は、老バッハがフリードリヒ2世の宮廷を訪ねた時、若き君主が与えた主題にバッハが曲をつけ、献辞をつけて献呈したと言われている。心温ま……more
-
『好奇心の赴くままに ドーキンス自伝1』by 出口 治明
2014年06月21日友人が「超絶的に面白い」と言っていたのは、まさしく本当だった。30年ほど前に、初めてドーキンスの利己的な遺伝子を読んだ時の衝撃は、今でも忘れることはできない。すべての生物は遺伝子によって利用される単なる乗り物に過ぎない、というドーキンスの考え……more
-
『ヨーロッパ覇権以前 (上下)』by 出口 治明
2014年06月15日マクロ経済学は「ルーカス批判(1976年)」の前後では全く様相を異にする、と言われているが、歴史学も、おそらくウォーラーステインの「近代世界システム(1974年)」前後では同じことが言えるだろう。その後、ウォーラーステインに触発されてすばらし……more
-
『漢字の成り立ち』by 出口 治明
2014年05月28日漢字を指して、誰が言ったのだったか、「世界で最も美しい文字」、と。本書はその漢字の成り立ち(字源)を解説した入門書である。ただし入門書ではあるが、著者の異才が如何なく発揮されており、快刀乱麻、当たるを幸い薙ぎ倒す勢いが、なんとも面白い。漢字に……more
-
『ティムール帝国』by 出口 治明
2014年05月23日ユーラシア大陸の東西を、自ら先頭に立ち何千里にも渡って踏破して、大帝国を築き上げた英傑は、アレクサンドロス大王(イスカンダル)以降、わずかに3名を数えるのみである。バトゥ(ジョチ・ウルス)、フレグ(フレグ・ウルス)そしてティムールである。著者……more
-
『ヴィクラム・ラルの狭間の世界』by 出口 治明
2014年05月17日重くて悲しい、それでいてみずみずしい物語が、抑制された美しい格調のある文体で淡々と綴られる。多用される現地語も彩りを添える。そして、構成も完璧だ。植民地時代のケニアを中心とする東アフリカ。支配者の英国人にとって、インド人は便利で使い勝手のいい……more
-
『物数寄考 骨董と葛藤』by 出口 治明
2014年05月10日向こうから僕の眼の中に「読んでください」と飛び込んでくる本がたまにある。この本もそうだった。不思議な形の志野の装幀に加え、骨董と葛藤という副題を垣間見た瞬間、これはもう読むしかないと観念してしまった。 …more
-
『かくして「源氏物語」が誕生する』by 出口 治明
2014年05月06日僕は、確か小学生の頃、平家物語を読んで感動し、同じ感動を味わおうと思って源氏物語に取り組んだ。田舎の少年は、源氏物語は武家としての源氏の盛衰を描いたものに違いないと勝手に決め込んでいたのである。読み始めて、おそろしく拍子抜けしたことが記憶に残……more
-
『宇宙論と神』by 出口 治明
2014年04月27日人間はどこから来て、どこへ行くのか。間違いなく、これが、人間の永遠の問いの1つであろう。「僕たちの体は、星のかけらから出来ている」、そう教わった時の腹落ち感は半端なものではなかった。だからこそ、僕たちは宇宙論が大好きなのだろう。誰しも僕たち……more
-
『ワーグナー(上下)』by 出口 治明
2014年04月20日ブラームス派であるにも関わらず、昔からワーグナーは何故か気になる存在だった。一言で言えば、癇に障るのだ。完成までに4半世紀を費やした「指輪」を含めほとんどの作品も観た。それでも好きにはなれなかった。第1、よく分からなかったのだ。でも、僕の……more
-
『〈生きた化石〉生命40億年史』by 出口 治明
2014年04月15日名作、「生命40億年全史」「地球46億年全史」の著者が、太古の昔から姿も変えずいまなお生き残っている生物を対象に、「いかにして生き延びたのか」を論じた本である。前作同様、本書も著者が現場に出向いた探求の旅をまとめた体裁をとっている。読み進む……more
-
『黙示録――イメージの源泉』by 出口 治明
2014年04月07日フランスのアンジェ城で、薄暗い光の中、壁一面にかけられたアンジェの黙示録を初めて見た時の、摩訶不思議な感動は、まるで昨日のことのようによく覚えている。聖書の最後に置かれた、わずか35ページ(新共同訳)のヨハネの黙示録(アポカリプス)。「イエ……more
-
『システム×デザイン思考で世界を変える』by 出口 治明
2014年03月29日日本一小さな大学院、慶應SDM(システムデザイン・マネジメント研究科)のPR本である。しかし、PR本でありながら、とても面白いし、またストンと腹落ちするのだ。これから社会に巣立とうとしている若い皆さんはもちろん、社会人にも本書の一読をお薦めし……more