滑走路の端でカメラを真上に向けて固定し、着陸陸間際のさまざまな旅客機を撮った大判の写真集である。背景は全て白で塗りつぶしてあり、旅客機以外の視覚情報は一切ない。そのため精密なプラモデルを下から撮ったのようにも見えるが、実機が持つ油の匂いは消しようがない。
747やエアバス、セスナやボンバルディアなど現用の旅客機が網羅されているし、航空会社も日本貨物航空や英国航空など多岐に及んでいる。一見飛行機カタログのようにも見えるのだが、テクノロジーをアートとして感じることができる人々にとっては必見の写真集だ。
同じテクノロジーアートでも工場萌え派や巨大地下構造物マニア、巨大船ファンは対象が非日常であることが特徴だ。つまり対象そのものがアートだ。しかし、旅客機はすでに日常に組み入れられている存在である。日常の物事をアートに変えるためには本書のような非日常の視点とテクニックが必要なのだろう。
それにしてもこんな写真集まで中国製だ。