休日に本を読む人は多いのだが、ボクの場合は本を読まないことが休日である。ゴルフとゲームと模型作りで春を満喫した。
ゴルフはコースにも何度かでかけたが、「マスターズ」の中継も4日間朝5時すぎから見つづけた。TBSの第1日目の放送は、石川遼の最終ホールの第2打目、ウッズがその最終ホールのグリーンでピンチを迎えたワクワク・ドキドキの瞬間に終了した。8時17分のゴルフ中継終了後、30分からの番組までの間に時間があったらしく短いニュース番組が差し込まれた。そこでは前日に撮影した三井住友銀行の決算予想修正などのどうでも良いニュースを取り上げていた。
第2日目も石川にとっては予選落ちすると最終日になるにもかかわらず、8時30分であっさり試合途中で終了。両日の試合結果はフジテレビの「とくだね!」に頼ることになった。前日までアレほどまでに、「みのもんたの朝ズバ」などでマスターズの番宣に余念がなかったTBSがテレビ局であることを捨てた瞬間だと思った。
そもそもスポーツの生中継は権利関係の問題があり、契約したテレビ局にしかできないのだ。将来、主催者がネット中継をどこかに許諾した瞬間に、最後まで試合を中継できないテレビ局は見向きもされなくなるであろう。日本語での解説を英語の動画にかぶせることなどネット上ではわけもないのだ。
ところで、『コンテナ物語』は久しぶりに紹介する超おすすめビジネス・ノンフィクションである。海運用のコンテナの標準化がどのようにしてなされたかについての本だ。コンテナ船を発明したのはトラック業者のマルコム・マクリーンという人物だった。マクリーンはより合理的なシステムとしてトラックとトラックの上に載せる箱を分離したのだ。
当然ライバルが出現する。さらに変化を嫌う行政や業界にも行く手を阻まれるのだが、ついには世界最大級の海運会社に上り詰める。その成功の過程もじつに面白いのだが、それ以上にコンテナの持つ意味を考えさせられるのだ。
コンテナの標準化があったからこそ、世界貿易は級数的に拡大したことはまちがいない。コンテナがなければ中国の急成長などは全く考えられないのだ。この膨大な輸送量を確保するために巨大コンテナ船も計画されている。マラッカマックスという20万トンクラスの船は18000個のコンテナを積載することができる。18000個のコンテナを積むために用意されるトラックを一列に並ばせたら100キロメートルの長さになるというのだ。
いわゆるデファクトスタンダード、すなわち公的機関による標準ではなく事実上の標準としてはWindowsが代表例だ。利用者が企業だけでなく消費者にもおよぶために有名ではある。しかし、一般に馴染みのないコンテナの標準化はより大きな社会システムの変革をもたらしたと思われるのだ。すなわち物流のグローバル化である。この形而下ともいえる物流の超効率化こそが、世界的なデフレをもたらし、結果的にモノからカネへの資産シフトが起こったのかもしれない。