「場の空気が読めず、人の話が聞けない」「いつも落ち着きがなくソワソワしている」「頭に浮かんだことをすぐに口に出して人を怒らせる」「同じ失敗を何度もくり返す」「物事が予定どおりに進まないとパニックを起こす」……あなたの周りにもこんな人はいないでしょうか。
こうした行動は、以前は子供に特有のものと考えられ、親のしつけや育て方が原因とされていました。しかし、現在では、しつけや育て方には関係がなく、「発達障害」という脳の機能障害が原因であることがわかっています。
本書は、25万部のベストセラー『発達障害に気づかない大人たち』(祥伝社新書)をはじめ、数多くの発達障害関連の著作がある心療内科医による、初の半生記です。
著者は、すでにいくつかの著作において、自身が発達障害の一つであるADHD(注意欠陥・多動性障害)であることを公表しています。ただし、その詳細については、これまでつまびらかにしていませんでした。
本書では、「機能不全家族」の中で育ち、さまざまな軋轢に悩みながらも、同じ障害を持つ人たちを診療する側にいたるまでを克明に綴っています。
ADHDに限らず、アスペルガー症候群や学習障害などの発達障害は、生活の工夫と周囲のサポートによりコントロールが可能であり、特有の「生きづらさ」も解消することができます。そこで、本書の後半では、生活の工夫十箇条や、発達障害者のキャリアガイダンスなどにも言及しています。
著者は「発達障害者にやさしい社会は万人にやさしい社会である」といいます。発達障害者として生きるヒントのつまった本書を、一人でも多くの方が手に取っていただければ、そんな社会が訪れる日も遠くないかもしれない————そんな思いを込めて作った一冊です。
マキノ出版 狩野元春
*「編集者の自腹ワンコイン広告」は各版元の編集者が自腹で500円を払って、自分が担当した本を紹介する「広告」コーナーです。