「歩くたびにおっぱいが大きくなるマシーン」の発明家が綴る『無駄なことを続けるために -ほどほどに暮らせる稼ぎ方-』

アーヤ藍2018年12月11日 印刷向け表示
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無駄なことを続けるために - ほどほどに暮らせる稼ぎ方 - (ヨシモトブックス)
作者:藤原 麻里菜
出版社:ワニブックス
発売日:2018-11-16
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「歩くたびにおっぱいが大きくなるマシーン」「インスタ映え台無しマシーン」「全ての者が裸に見えてしまうメガネ」「土下座しても悔しくならない無駄装置」「一人でもコックリさんが出来る装置」など、200以上の「無駄なもの」をつくり、YouTubeで6万人以上Twitterで5万人近いフォロワーを誇る、発明家の藤原麻里菜さん。

本書『無駄なことを続けるために』はそんな彼女の初著作。「無駄づくり」をはじめるまでの経緯や、どう多様なオンラインプラットフォームを活用してきたか…の試行錯誤が綴られている一冊です。

友達だと思っていた子の誕生日パーティーに呼ばれなかった

お笑い芸人を目指して芸人養成所に通い、現在もよしもとに所属する藤原さん。きっと文体も笑わせてくれるもののはず…と期待して手に取りましたが、笑いを狙った文章はほとんど見受けられず、むしろ、読んでいくなかで何度も「まじめかっ!」とつっこみを入れたくなるほど…。

でも、よくよく考えてみれば、彼女の「無駄づくり」そのものが、”まじめ”の塊。役に立たないものを、これでもかというくらい、手をかけて真剣に作り上げる。だからこそ、クスッと笑ってしまう。そんな彼女そのままの姿が、現れている文章とも言えるかもしれません。

そもそも、藤原さんの「無駄づくり」に懸けるエネルギーの源泉は“生きづらさ”にあるといいます。小学4年生の時、「友達だと思っていた子の誕生日パーティーに私だけ呼ばれなかった」という事件に見舞われ以来、悲しみと怒りが入り混じった感情に敏感になったとのこと。幸せそうな人を見た時の妬みや、誰かに対して怒りながら、その怒っている自分に悲しみも感じる複雑な心境など、捻くれていたり鬱屈としている自分を、「無駄づくり」を通して笑いに昇華させるのです。 例えば、「Twitterでバーベキューと呟かれると藁人形に五寸釘が打ち付けられる」作品は、藤原さんが一度もバーベキューに誘われたことがないという悲しみと、SNSでバーベキューの楽しげな写真が目に入った時の怒りをもとに作られています。おしゃれな人が集まる表参道を歩くのが怖い、という自身の感情をもとに作り上げたのは、ARを活用した「自分がメガネをかけることで全員ダサく見える装置」です。自分自身の姿と思考をコンテンツを通じて多くの人に共有することで、どんどん世界が生きやすくなる。だからこそ「無駄づくり」を続けていると言います。

エンジニアからYouTuber好きの中高生まで惹きつけるポイント

とはいえ、効率性や生産性が求められる社会のなかで、そのどちらとも逆行するような「無駄づくり」で、いったい稼いでいくことはできるのでしょうか?そこには、涙ぐましいほどの地道な積み重ねと、トライアンドエラーの積み重ねが…!その詳細は本書に譲るとして…。

藤原さんの“戦略”に共通して見えるのは、「狭めてしまわない」柔軟さと多様さです。もともとお笑い芸人の延長で始めた「無駄づくり」。当初はコメディの視点でしか考えられていなかったという藤原さん。でも、アーティストと話をすれば、「メディアアート」の側面からできることが見えてくるし、映像作家と仲良くなれば、映像の表現方法をどう深められるか模索するようになる。YouTubeでの動画表現だけでなく、ライターとしての発信もすることで、映像では伝えきれないものを届けることができる。「職業体験期間」と銘打って、居酒屋やバー、漫画喫茶、派遣の棚卸、ブロックおもちゃの専門店など、様々な仕事を体験したことも、ネタの幅を広げ、自分が得意なことと苦手なことを理解していくプロセスにもなったと言います。

そんな風に多方面から作品の質を磨き、多様な媒体と切り口から発信をしていくことで、SNSの消費のループに飲み込まれるのを避け、コメディ好きから電子工作に関心のあるエンジニア、YouTuber好きの中高生や、アートファンの人たちまで、幅広いフォロワーを集めているのです。

そして、これまでの多業界での経験から、「藤原麻里菜」の名前を“見せない”仕事も得られているとのこと。”見せない仕事”と”見せる仕事”のバランスを取り、それがいい循環を生み出すような藤原さんの生き方は、昨今話題にのぼっている「複業」の可能性も示しているように思います。

無駄なようで必要とされ、役に立たないようで価値を生む「無駄づくり」。関係ないと思っているあなたにこそ、もしかしたら「ヒント」がたくさん詰まった一冊かもしれません。

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