『シェール革命と日本のエネルギー』ー編集者の自腹ワンコイン広告

2014年2月15日 印刷向け表示
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シェール革命が世界を変えるって本当?

ここ2、3年、米国のシェール革命に関する報道を、少々信じられない気持ちで追っていました。長年エネルギーのニュースをウォッチしてきた経験からすると、エネルギー関係で劇的に注目を集めた新しい技術は、数年すると熱気が冷めて、世界を変えることもなく、通常の地道な技術開発路線に戻っていくことが多いのです。

でも、今回は技術ではなく資源。資源を掘る技術こそ新たなものですが、貪欲な人類が資源を見捨てることはありえません。だからこそ、シェール革命は本物なのか、本物であれば、世界は変わるのか——それが知りたかった。

そこで、長年、エネルギー研究に携わり、かつ、『21世紀のエネルギー地政学』という本を執筆されたこともある日本エネルギー経済研究所研究顧問の十市勉氏に、執筆をお願いしたところ、ご快諾いただきました。

本書では、シェールガス、シェールオイルの生産状況や資源量、米国での開発状況、世界での開発状況などを紹介しています。そしてそれが世界や日本に与える影響も解説しています。シェール開発の基礎から、国際情勢まで、シェール革命のすべてが、3日程度で網羅できるように構成しました。

十市氏によると、シェール層は在来型の油田やガス田の源になっている地層で、開発できれば、人類は当面、枯渇を心配することのない化石燃料を手に入れることができるようになるそうです。とはいえ、開発はそう簡単ではないようですが、「米国でシェール開発ができる」という事実は、国際情勢に波紋を呼んでいます。

シェール革命が世界にどう波及するのか、日本への影響は——。ここは本書でじっくり読んでいただきたいところですが、ビリヤードのように、シェール革命の影響が世界に広がっていく様子は、日本人があまり意識してこなかった国際情勢とエネルギーの密接な関係を、現在進行形の事実として、突きつけるものとなっています。

福島第一原子力発電所の事故以降、燃料輸入量が増大し、貿易赤字が続いている今、シェール革命による国際情勢の変化は、すべてのビジネスパーソンに必須の知識ではないでしょうか。HONZを通して、多くの方に本書を手に取っていただければと期待しています。

電気新聞メディア事業局 神藤教子 

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出版社:中央公論新社
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