【連載】小林凛くんと国立科学博物館に行く!②アンモナイトやヒトデに触り、凛くん標本になる

2014年9月18日 印刷向け表示
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さて、いよいよ明日発売になる小林凛くんの『冬の薔薇立ち向かうこと恐れずに』と前作『ランドセル俳人の五・七・五』の2冊から俳句を紹介しつつ、国立科学博物館を見学する今回のHONZ活動記、その2をお送りします。(その1はこちら

冬の薔薇 立ち向かうこと 恐れずに

作者:小林 凜
出版社:ブックマン社
発売日:2014-09-19
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いよいよ、折原守理事のご案内で、見学スタート!! 

最初に見たのは、常設展・日本館1階「自然を見る技」の展示。トロートン天体望遠鏡が迎えてくれる。 

トロートン天体望遠鏡。1880年にイギリスから輸入され日本初の本格的な天体観測に使われた

満月やうさぎ探して望遠鏡

凛くんが科博に来るのは、昨年行われた特別展「深海展」に続き、これで2回目。去年は上野動物園にも行って、ハダカデバネズミに夢中になったそう。おお、同じデバ好きとして、とっても嬉しいデバ! 

「ぬいぐるみのデバも買って。デバは群れで暮らすからって、フエルトで子どものデバを作らされたんですよ」と、お母さん。そんなエピソードに、お母さんの、凛くんへの深い愛情を感じずにはいられない。

デバネズミ穴のカースト夏休み

じつは時間があまりない今回の見学。ここ「自然を見る技」は見ない予定だったが、凛くんの「見たい!」の一言で駆け足見学。午後、凛くんたちは聖路加国際病院の日野原重明先生と会う約束があるのだ。もうすぐ103歳の日野原先生も、90歳差の俳句仲間のこの成長ぶりを見たらさぞ喜ばれるだろう。

百歳はぼくの十倍天高し

続いては、日本館3階の「日本列島の素顔」

入口すぐにあるディスプレイは、デザイン的にも存在感あり
 

     なかには、色とりどりに輝くオオセンチコガネの標本も

 黄金虫色とりどりの動く虹

凛くんのすばらしい句を思い浮かべつつ、オオセンチコガネって動物の糞を食べる糞虫なんだよなあ~と思い出す。

(ついでに、むかし山登りに行ったとき、ピカピカ光る超キレイなピンク色のコガネムシを素手でつかまえて仲間にみせびらかしたら「それ、そこから上がってきたやつだよ」と汲み取り式公衆便所を指さして、気の毒そうに言われたことも思い出す。)

圧巻は、日本周辺の海の生きものたちを紹介した、この一画。海に囲まれ、南北に長く、複雑な海底地形をもつ日本。多様な生物相に恵まれていることが、一目でわかる。

天井に日本地図と周辺の海流が描かれ、それぞれに生息する生物が並ぶ。上下は海の深さを表しているので、深海生物のタカアシガニやメンダコはいちばん下に

 科博では、基本的には実物を展示している。なんと、このケースに陳列されている魚や軟体動物も、イカ以外はすべて本物! ブリなど食卓にのぼる魚も。「おいしそう!」の声が上がるほど、ピチピチ新鮮そう。特別な処理をしているのだろうが、腐らないのか? におわないのか? こういう技術って、すごい。

貝見れば海の思ひで香り立つ

客を呼ぶ秋刀魚は銀の腹見せて

空へ投げ一番星になる海星(ヒトデ)

触れる展示も随所にあり、点字解説も充実。

凛くんが触っているのはイシダイの歯

続いては、日本館3階「日本列島の生い立ち」。フタバスズキリュウの化石が上からこんにちは。このフタバスズキリュウは1968年に福島県いわき市で発見された海生爬虫類で、発見者が当時まだ高校生だったことでも話題になった。恐竜少年がこんなの見つけちゃったときの気持ちを想像すると、アドレナリン急上昇。

フタバスズキリュウ

そして、わたし以上に大興奮の凛くんが駆け寄ったのが、巨大アンモナイト。解説を読むまでもなく、凛くんが発見当時の状況を、自分もその場に居合わせて一緒に大物アンモナイトを掘り出したような臨場感で語ってくれた。

「あんまり大きいから3人がかりで運んだんだけど、すごく、すごく重くて、やっと車に乗せても、タイヤがパンクして、大変だったんだよ!」 

凛くんが説明してくれた、アンモナイト。1976年、北海道夕張市の川の中で発見された  
 
凛くんも化石を堀りに行くことがあるそうだが、まだアンモナイトは発見できていないそう。いつか見つかるといいなあ。

寒空にアンモナイトを掘る僕だ

ボランティアガイドさんが「アンモナイトの巻き方は一定ではありません。巻き方で年代がわかるものもありますよ」等々、丁寧に説明してくださった。科博では9時半~16時頃までの間、各フロアに研修を受けたボランティアガイドが常駐しているそうだ。

説明してくれる人がいると、理解がさらに深まる

そして日本館2階「日本人と自然」では、凛くんの知識の幅広さにまたまた脱帽。弥生時代の土器が展示されているコーナーに、ひときわ大きな器が。

「すごーい、大きいねえ! 人が入れそう! これでご飯つくったら、何十人分できるかなあ?」と言ったら、凛くんが教えてくれた。

「それ、ひつぎです。甕棺(かめかん)です」

……わたくしも一句。

凛くんに 教えられたよ それひつぎ

これが甕棺。失礼しました

ここで秀逸だったのは、古代から現代までの日本人を人形で再現したこの展示。さすがにこれは実物を展示できないが、最後の「現代人」は見学者自らが入って標本になることができる。

凛くんもお母さんと「現代人」になって、にっこり
現代人のお隣、近世人の人形を見て、凛くんが「勝海舟に似てる」「手の血管とか、すごい!」

近世人(勝海舟似)の人形 

展示品のクオリティーに対する、細部までのこだわりが感じられる 

人形のリアルさに負けず劣らず「いいね!」したくなるのは、解説プレートの文章。ガチガチの学術解説ではなく、それぞれの時代の人たちの息づかいが伝わるストーリー性が微笑ましいのだ。たとえば、一番古い「港川人」の解説は、こんな具合。

「港川人 初老の父ちゃんが苦労してヤンバルクイナを捕ってきたら、元気の良い母ちゃんは大きなホラ貝と木の実を採ってきたので、父ちゃんは苦笑い。……」   

港川人

ハチ公の前で、記念撮影。凛くんも笑顔!

折原理事によると、ハチ公の内臓は東大に保管されているそう。ハチの後ろは南極犬のジロ。凛くん「タロは?」――北大にいるそうだ。いちばん奥にかかった桃太郎の絵にも犬が描かれ、なぜか二足歩行している。そういえば、凛くんの俳句には飼っている犬を詠んだものも多い。わたしのお気に入りはこれ。

落葉坂犬と転げて紅まとふ

お次は日本館地下1階「THEATER36○(シアター・サン・ロク・マル)」。直径12.8メートルの球体ドーム内側すべてが360度スクリーンになっていて、橋の上に立って映像を鑑賞できる。1回約13分間で2作品、9時半~閉館30分前まで繰り返し上映。作品の組み合わせは月替わり。

今回鑑賞したのは「宇宙137億年の旅」と「海の食物連鎖」。迫力満点の映像と音で、「プランクトンになってイワシのえらに濾し取られる」という貴重な体験ができました。

さて、次はいよいよ、特別展「太古の哺乳類展」! 凛くんの近況と新刊情報もあり。

第3回はこちら
 

決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
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