『映画監督 神代辰巳』読者を圧倒する重量と熱量! 日本映画史を辿る貴重な一冊

東 えりか2020年02月01日 印刷向け表示
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映画監督 神代辰巳
作者:神代 辰巳
出版社:国書刊行会
発売日:2019-10-27
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 縦26.5センチ 横20センチ 厚さ4.5センチ。700ページ強で重さは1620グラム。価格は税別1万2000円。年末に入手してから、机の左側にずっと置かれている。持ち歩くことも、ベッドに仰向けになって読むこともできないので、家事や仕事の合間に椅子に背筋を伸ばして座り、少しずつ読み進めるほかはない。だがこの重量に見合う熱量に終始圧倒された。

1995年2月24日、67歳で亡くなった神代辰巳の作品には今でも熱狂的なファンが存在する。本書の刊行記念特集上映〈蘇る神代辰巳〉には、かつて劇場でロマンポルノ見た老人や最近名前を知った若者など、多くの人が集まったと報じられた。

だが神代辰巳に関する書籍は驚くほど少ない。それは死後に出された「映画芸術」1995年夏号〈追悼神代辰巳〉が完璧だったせいだと本書を企画した編集者が編集後記で語っている。

ならばと、手に入りにくいこの雑誌の内容を丸ごと収録し、さらに新しい資料を加えて本書は制作された。元の「映画芸術」の5倍以上のボリュームになっているという。

私の神代映画体験はかなり遅い。日活ロマンポルノで世間の話題になっていたころは中学生。ようやく一人で映画館に行けるようになり「ぴあ」を愛読するようになって初めて観に行ったのが『青春の蹉跌』だった。萩原健一が魅力的で、書店で原作である石川達三『青春の蹉跌』を買って帰ったのを覚えている。

神代が撮った映画作品は35作。私が観たのは『もどり川』『ベッドタイムアイズ』など10作品にも満たないが、晩年の作品『棒の哀しみ』の現場に伺ったことがある。

『棒の哀しみ』予告編

原作者の北方謙三氏に同行し、小さな呼吸を楽にするための酸素ボンベを引きながも精力的な姿が印象的だった。本書で映画だけでなくテレビやCMの仕事も多かったことを初めて知った。

萩原健一、内田裕也など神代映画を彩った俳優さんも亡くなった。日本映画の歴史を辿る貴重な一冊である。(週刊新潮1/30号より転載)

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