『「ちがい」のある子とその親の物語』世界23か国で読まれる当事者とその家族の声

2022年4月30日 印刷向け表示
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作者: アンドリュー・ソロモン,Andrew Solomon
出版社: 海と月社
発売日: 2020/12/4
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作者: アンドリュー・ソロモン,Andrew Solomon
出版社: 海と月社
発売日: 2021/10/15
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作者: アンドリュー・ソロモン,Andrew Solomon
出版社: 海と月社
発売日: 2022/1/31
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本書は欧米で活躍するノンフィクション作家・アンドリュー・ソロモンが10年間に300組以上の親子を取材した壮大な記録だ。2012年に出版されると数々の賞を受賞し、世界23カ国で刊行。日本でも3巻目がいよいよ発売となり、完結した。

「ちがい」のある子とは、Ⅰでは「聴覚障害」「低身長症」「ダウン症」、Ⅱは「自閉症」「統合失調症」「重度障がい」「神童」、そしてⅢは「レイプで生まれた子」「犯罪者になった子」「トランスジェンダー」を取り上げている。加えて最終章ではゲイの著者が父親になるまでの経緯を詳細に語る。

ⅠとⅡでは、病気に分類されがちな障がい(神童もまた先天的に特殊な存在としている)を取り上げているが、Ⅲは社会的に忌避されたり排斥されたりする存在に注目し、子どもたちに対する歴史的な背景を踏まえ当事者と家族の葛藤を丁寧に掘り下げていく。

レイプによって妊娠した女性が「産む」ことを選択した理由は様々だ。だが子どもを育てる中でレイプの記憶が蘇り、愛せなくなったり過度に幸せだと思い込もうとしたりすることはよくあるという。著者は戦時下のレイプで生まれた子の「その後」を知るためルワンダを訪れ、子どもを愛せない母親の苦しみを知る。

犯罪者になった子を持つ親の苦しみはさらに深い。米・コロンバイン高校で起こった銃乱射事件の犯人の両親は、子どもが日常的にいじめにあっていることを知らなかった。最悪の事件だが、そこまで追い詰められた子どもを助けられなかったことを悔やみ続けている。

最終章では著者が同性婚をしたのちに父親になることを決意し、生まれた子どもへの気持ちを語っていく。子と親への長い取材の果てに、著者は子どもを持つことを望んだ。結びの言葉は親になった喜びにあふれていた。(婦人公論5月号「読みたい本」より)

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峰尾健一のレビューはこちら

決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
発売日:2021-07-07
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