『偽装農家』

2009年9月1日 印刷向け表示
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偽装農家―たちまちわかる最新時事解説 (家族で読めるfamily book series)

作者:神門 善久
出版社:飛鳥新社
発売日:2009-08
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飛鳥新社「Family bool series」の7冊目である。100ページに満たない薄い本だ。『文藝春秋』などの総合雑誌に掲載されている記事よりもかなり長く、単行本や新書よりもかなり短い。活字だけで714円だから、安いのか高いのかはなんとも評価しにくい。じつはすでに出版されている『食卓からマグロが消える日』『エネルギー革命メタンハイドレート』『グーグルが本を殺す』の3冊読んでいるのだが、今回はじめてシリーズだったのだと気がついた。買っていない本の著者には田母神俊雄や不肖・宮島などがいるので、シリーズの雰囲気はなんとなくそっちの方向なのね、という感じで読めば良いかもしれない。

薄い本なのであまり中身を紹介しにくい。まずは各章とその章中で目立つ項目を、コメント付きで目次から抜粋してみよう。

1.食糧自給率の空騒ぎ

-食糧自給率向上で国家は破滅(ひゃ-)

-戦後60年以上、穀物価格が下落傾向にある(そうなのかぁ)

-肥える先進国と飢える途上国(うん、これは大問題だと思う)

2.農家に都合の悪い事実

-農業ブームの胡散臭さ(うーん、長期的にはいけてると思うけど)

-消費者のモンスター化(ついでに高齢化も)

3.偽装農家の現実

-片手間でできる米作り(事実です)

-農地の価値が10倍、100倍に(そうなのかぁ)

4.違法転用を黙認するメカニズム

-都市計画が滅茶苦茶な日本(本当にそう思います)

-農水省のホンネは耕作放棄と転用の促進 (いくらなんでも)

5.偽装農家をなくすための提言

-「平成検地」を実行せよ(同意)

-「まことちゃんハウス」の問題(見にいきました。派手でした)

6.思い切って農地を減らす

-日本の農業に未来はあるか(ないことはないと思う)

-外国人の就農(良いアイディアかもしれません)

ついでながら、片手間でできる米作りについては事実だと思う。友人の元官僚から聞いたのだが、本人の実家は特定郵便局で米作農家だというのだ。そりゃご両親忙しいねと聞くと、いや米作りだから電話一本で田植えから収穫までJAから人が来てやってくれるんだよね、と笑っていた。

ともあれ、この本の著者は『日本の食と農』も出版している。これも非常に良い本で、サントリー学芸賞とBizTech図書賞を受賞している。ちなみにボクはBizTech図書賞の審査員を仰せつかっており、この本に一票入れている。

日本の食と農 危機の本質 (シリーズ 日本の〈現代〉)

作者:神門 善久
出版社:NTT出版
発売日:2006-06-24
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決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
発売日:2021-07-07
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