『アリエリー教授の人生相談室 行動経済学で解決する100の不合理』 著者まえがき&内容の一部紹介

早川書房2016年05月11日 印刷向け表示
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専門家のくせに説明が意味不明

親愛なるダンへ

この間ある有名な学者の講義を聞いたんですが、彼が専門分野のごく基本的な概念さえうまく伝えられないことに驚き、不思議に思いました。あんなに高名な専門家が、あそこまで下手な説明しかできなくていいんですか? それが学者の条件とでもいうんでしょうか? (レイチェルより)

気を楽にもって。あなたは有名な作家よ。誰もあなたに自分以外の話なんか期待してないから

私がときどき授業でやるゲームを紹介しよう。数人の学生に何か曲を思い浮かべてもらい、 何の曲を選んだかはいわずにそのリズムで机を叩いてもらう。次に、自分がリズムを叩いた曲名を正しく当てられる学生が何人いるか予想してもらう。たいてい、半数くらいは当たるだろうと予想する学生が多いね。それからリズムを聞いた学生たちに曲名を当ててもらうが、正しく当てられる人はほとんどいないんだ。

つまり、私たちは何か(選んだ歌など)をよく知っていると、その知識をもたない状態を想像しにくくなるんだ。これを「知識の呪縛」という。この傾向は誰にでもあるが、学者の場合はとくにひどい。なぜだろう? 学者は同じテーマを何年もかけて細部にわたって研究するから、その研究テーマの世界的な専門家になるころには、領域全体を単純で直感的に理解しやすく感じるんだね。こうして知識の呪縛にとらわれると、そのテーマは誰にとっても単純でわかりやすいと思いこんでしまう。

というわけで君が目の当たりにした現象は、たしかに専門家の必要条件なのかもしれないよ。

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