書店店頭では『鬼滅の刃』旋風が巻き起こっています。映画の大ヒットもあり人気は高まる一方です。民俗学にも注目がいき、鬼についての本が売れないか期待しながらブームを見ていますが、さてどうなりますか。11月はどんなタイトルが発売されるのでしょうか。
まずはノンフィクションの予約ランキングから。2020年10月20日時点の予約受注実績から11月以降に発売になるタイトルを抽出しノンフィクションの予約ランキングを作成しました。(日販調べ:タイトル・発売日等今後変更になる可能性があります)
アメリカでは大統領選挙まっただ中ですが、ボブ・ウッドワードの話題作『RAGE 怒り』がランキングに入って来ました。このあとどこまで予約数を伸ばすのかが気になるところです。
コロナ禍を受けた出版は若干点数的にも落ち着きが出てきています。経済活動が活発化してきている中で、新たな動向を踏まえた執筆がなされている頃なのかもしれません。
出版社 | 商品名 | 著者名 | 発売予定 年月日 |
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扶桑社 | 『息子のトリセツ』 | 黒川 伊保子 | 20201104 |
小学館 | 『「嫌いっ!」の運用』 | 中野 信子 | 20201126 |
誠文堂新光社 | 『天文年鑑 2021年版』 | 天文年鑑 編集委員会 | 20201124 |
KADOKAWA | 『NHKスペシャル 戦争の真実シリーズ3 731部隊の真実』 |
NHKスペシャル取材班 | 20201127 |
海竜社 | 『池上彰の今さら聞けない日本のこと』 | 池上 彰 | 20201104 |
朝日新聞出版 | 『疫病と人類』 | 山本 太郎 | 20201113 |
日経BPマーケティング | 『RAGE 怒り』 | ボブ・ウッドワード | 20201222 |
文藝春秋 | 『コモンの再生』 | 内田 樹 | 20201107 |
晶文社 | 『ポストコロナ期を生きるきみたちへ』 | 内田 樹編 | 20201111 |
朝日新聞出版 | 『南朝研究の最前線 ここまでわかった「建武政権」から後南朝まで』 | 日本史史料研究会・監修 呉座勇一 | 20201106 |
予約リストから注目作品を紹介していきます。これからどんどん予約が増えますように!
ノンフィクション読みが忘れてはならない本年度の「開高健ノンフィクション賞」受賞作がこちら。新時代の登山家として称賛を受けていた栗城氏の滑落氏から2年が過ぎました。
もともと、交流があったという著者が、登山関係者はもちろん、周囲の人々に丹念な取材を行い描いたのがこの1冊です。死をきっかけとして彼をそこまで追い立てたものが何だったのか、選考委員からの絶賛の声が集まった作品がいよいよ単行本化されます。
資本主義の見直しや再評価が続く中、『全体主義の克服』が大ブレイク中の中島隆博さんが新たな本を編みます。労働や消費とは異なる「人の資本主義」はどう構想され、どんな未来を作っていくのか。
気鋭の書き手たちが大集合し資本主義について考えた、今後の世界・経済を考える上では忘れてはならない作品です。
こちらも経済ジャンルから。「日銀歴代総裁の苦渋の後退戦全記録」というキーワードに、これまで世に出てこなかった日銀の裏がどこまで読めるのかのワクワクを感じています。日銀法改正から菅政権発足まで、日銀で行われた議論や抱えた苦悩をオーラルヒストリーで解き明かす歴史的な作品。
オーバーツーリズムという批判もあったほどの外国人観光客景気は、コロナ禍でガラッと姿を変えました。GoToトラベルが始まり観光再生が期待されていますが、インバウンド需要に関してはコロナ前の課題を解決せずにすすむわけにはいかない。と著者は説きます。観光政策はどうあるべきなのか、イタリアと京都の事例から考えます。
『「宇宙戦艦ヤマト」をつくった男 西崎義展の狂気』の著者が描く、40年前の山谷の姿。実は、この場所がヤクザと過激派の抗争の場になったことがあるのだそうです。日雇い労働者のオアシスだったはずの街になにが起こったのか、ヤクザと過激派それぞれの大義はなんだったのか。昭和史のウラを読み解きます。
年末が近くなってきて、来年の大河ドラマに照準をあわせた「渋沢栄一」本の出版も多くなってきています。果たして大ブームは来るのか?期待して待ちたいと思います。