『読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊』

2021年4月1日 印刷向け表示
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今回は4月1日に発売される私自身の著書『読書大全 世界のビジネスリーダーが読んでいる経済・哲学・歴史・科学200冊』を紹介させて頂きます。

いまだ収まらない新型コロナ禍の中で、今はほとんど軽井沢にこもってオンラインで仕事をこなしています。実は一昨年から新著の執筆を依頼されていたのですが、東京と軽井沢を往復しながら多くの仕事に従事していたため、とても執筆の時間が取れそうもなく困っていました。それが、コロナ禍の「おかげ」でその時間が取れるようになり、10か月をかけて、この『読書大全』を書き上げることができました。ページ数で488頁、字数で推定40万字というかなりの大部になりましたが、人類の歴史に残る名著を網羅的に解説できたと自負しています。

まず本書の成り立ちをご説明しますと、HONZを始めとして「書評家」という活動を長年続けていたところ、日経BP社から書評本を出しませんかという話を頂きました。最初は「人類の歴史に残る100冊」というイメージでしたが、実際に選書をしてみると、人類の歴史に残る本が100冊で済む訳もなく、ざっと見ても1000冊位は必要になりそうでした。そこで、フィクション(小説)を割愛することにして、ノンフィクションに的を絞りました。神話や宗教については、フィクションともノンフィクションとも判定できないものが多いため、これはノンフィクションの方に入れました。

その結果、半分の500冊になり、そこからHONZの仲野先生や鎌田先生など10名程の大学の先生達と議論を重ね、やっと300冊に絞ることができました。しかし、前書きや全体の解説などに150頁、一冊2頁として300冊の解説に600頁を使うと、750頁の大部になってしまいます。そこで、やむなく300冊のリストは残したまま、厳選した200冊の書評を書くことにしました。更に、50冊については書評を1頁に絞り、残りの150冊について2頁ずつの書評を書いて合計で350頁、それに前書きや解説などの150頁を加えて約500頁という収まりになりました。

ジャンルは、①資本主義、経済、経営、②宗教、哲学、思想、③国家、政治、社会、④歴史、文明、人類、⑤自然、科学、⑥人生、教育、芸術、⑦日本論、の七つです。本書は特に、ビジネスリーダーの方々に心の血肉となるような読書を心掛けてもらいたいという思いで書きましたので、最も身近な資本主義や経済の書評から始めることにしました。その結果、一冊目はアダム・スミスの『国富論』で、二冊目が『道徳感情論』となりました。

アダム・スミスと言えば、『国富論』の「見えざる手」が有名ですが、実はそれよりずっと前に『道徳感情論』を書いていて、人間社会に秩序ができる根拠というのは何なのかを、深く掘り下げた議論をしています。そして彼がたどり着いたのが、人間は他者への「共感」に基づいて行動しているという経験的な事実でした。こうした「共感」があってこそ、自由市場が血で血を洗う無法地帯にはならないで済むのだと言っています。

こうした、人類の歴史に残る、ビジネスリーダーとして是非読んでおきたい本の書評を、10か月かけて一冊ずつ丁寧に書き上げたつもりです。本書は、ただの書評の寄せ集めではなく、上述したように、なぜその200冊を選んだのかや、それらが全体としてどうつながっているのかなど、解説の部分に100頁程費やしている点が大きな特色で、類書との差別化にもなっていると思います。

それから、「はじめに」の部分は、私がなぜこれほど本を読むようになったのか、その経緯を詳しく書いていますので、若いビジネスリーダーの方々には、是非、参考にして頂ければと思います。

また、本の帯の推薦文についても、経営共創基盤の冨山和彦さん、独立研究者でベストセラー作家の山口周さん、エンジェル投資家の孫泰蔵さんにお願いし、それぞれ素晴らしい推薦文を頂いています。

ということで、いわゆる自画自賛になってしまいますが、HONZの中に「自画自賛本コーナー」というのができましたので、アップさせて頂きました。

決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
発売日:2021-07-07
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『決定版-HONZが選んだノンフィクション』発売されました!