おすすめ本レビュー
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『サラ金の歴史 消費者金融と日本社会』行間に立ち上る、人々の暮らしの息遣い
2021年02月24日本書は、高度経済成長とともに隆盛を極め、やがて衰退していく歴史を100年遡り、戦前の個人間金融が活発だった頃から紐解く。セイフティネットが格段に乏しかった戦前期の日本では、個人間で金の貸し借りをしてしのぐことが多かったが、その多くは親しい間柄……more
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『堕ちたバンカー 國重惇史の告白』「住銀を救った男」が銀行を追われた理由に迫る
2021年02月20日著者は國重氏の部屋で銀行時代の辞令をいくつも見つける。そして、本書の最後で國重氏に問いかける。なぜ銀行を離れなければならなかったのか。本当に私生活の問題からなのか。銀行を誰よりも愛し、出世レースの先頭を走っていたのに、後悔はないのか。果たして……more
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あの劇場で見た映画が忘れられない…だから『そして映画館はつづく』
2021年02月17日当たり前にあると思っていたものが、実は”当たり前”ではなく“有り難い”ものだったと、コロナ禍を経て、誰しも何か感じているものがあるのではないだろうか。私にとってその1つが「映画館」の存在だった。 2020年4月初旬、コロナの影響で休業が相次……more
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『「色のふしぎ」と不思議な社会 2020年代の「色覚」言論』最先端科学で探る、「色」の世界
小学校の教室で健康診断が行われている。順番に並んで身長、体重、座高などを測定し、最後に視力検査。さらにそのあと、変な絵を見せられた。オレンジと緑で書き分けられた数字を読み取るという簡単なテストだ。それが分からない人がいるんだって、と帰宅してか……more
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贋金つくる『薩摩という「ならず者」がいた』
2021年02月15日血と汗だけで明治維新を起こせるのだろうか。改めて当時を振り返ると、カネにまつわるストーリーが見え隠れしてくる。そのなかでも驚くのは、薩摩藩による「贋金作り」。江戸幕府のヒエラルキーでは外様扱いだった薩摩藩は、列島最南端で大犯罪をしていた。贋金……more
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『パンデミック後の世界 10の教訓』未来を決めるのは新型コロナではない
2021年02月13日本書の著者ファリード・ザカリアは、米CNNの報道番組「Fareed Zakaria GPS」のホスト役を務めている。同時に、ワシントン・ポスト紙のコラムニストを務めるなど、ベストセラー作家であり世界的コラムニストである。…more
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『首都直下地震と南海トラフ』1000年に一度の「動く大地の時代」の日本列島
2021年02月12日2011年の東日本大震災を契機に、地球科学的に「動く大地の時代」に入った日本列島に生きる我々は、どう対処していくべきなのか?…more
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『鬼才』不世出の編集者の知られざる生涯
「◯◯の天皇」という形容がある。出版界にはかつてこの呼称がぴたりと当てはまる人物がいた。 「新潮社の天皇」、齋藤十一である。齋藤は伝説の編集者だ。その業績でもっとも有名なのは雑誌ジャーナリズムへの貢献だろう。1956年(昭和31年)に『週刊……more
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在外日本人の目に映る、世界各国の今 『日本の外からコロナを語る』
2021年02月09日「コロナ禍での暮らしや、思っているものを書いてみませんか」本書は、旅を書くことを生業にしている下川裕治氏が、9か国に住む知己に各国のコロナ禍の状況をまとめてもらった本である。その中には、フランスのような感染爆発の渦中の国もあれば、ベトナムのよ……more
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『恐れのない組織――「心理的安全性」が学習・イノベーション・成長をもたらす』チーム研究の第一人者が唱える「心理的安全性」とは?
2021年02月07日「心理的安全性」は、対人関係の不安から解放された「恐れのない組織」が持つオープンな企業文化であり、イノベーションが生まれるための必要条件である。…more
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音楽で生きる、東京で生きる。『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』
2021年02月07日近田春夫を知っている人は、すでに読んだにちがいない。知らない人は、いますぐ読んでほしい。音楽で生きる、東京で生きる、その2つを味わえる。日本のロック、パンク、ヒップホップ、さらにはJ-POPやCM音楽まで網羅した音楽史であり、東京でクールに生……more
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『アルツハイマー征服』連帯が連帯を生む、絶望の中の希望の物語
2021年02月06日現在、全世界で約5000万人の患者とその家族が苦しんでいるアルツハイマー病は、完全に治す方法がないことで知られている。高齢化が進む日本で、今後アルツハイマー病による認知症がさまざまな課題を発生させていくことは想像に難くない。しかしこの病に関す……more
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子はみな幸せであるように『「ちがい」がある子とその親の物語Ⅰ』『こどもホスピスの奇跡』『にほんでいきる』
2021年02月03日国籍や肌の色、病気や障害などに関わらず子どもは幸せになって欲しい。その願いを込めた本を3冊紹介したい。…more
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たまに死者も出る、この特殊な趣味の行方は……?『こいわずらわしい』
「楽しくて読みやすいなあ~」と、のほほんと読み進めていると、突然鋭く心をぶっ刺してくる油断のならなさ。おもむろに登場するマイナー生物の生態。中毒性があるその筆致に、彼女の新刊が出たとなれば、それが恋愛コラムだろうが通販カタログだろうが、もう読……more
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『スケール 生命、都市、経済をめぐる普遍的法則』
2021年01月31日「ものさし」は人類が発明した偉大な道具の一つである。他人に時間や長さや大きさを伝えたいとき、ものさしで測って数字で言えば、誰もが正確に情報を共有できる。そして本書『スケール』は全ての現象を説明するものさし(尺度)の話である。 著者は英国……more