おすすめ本レビュー
-
『宇宙考古学の冒険 古代遺跡は人工衛星で探し出せ』最新技術と地道な発掘の組み合わせが起こす革命
2020年11月07日「衛星考古学」や「衛星リモートセンシング」とも呼ばれる宇宙考古学は、人工衛星などで取得したデータを解析し、地中に埋もれている人工物を見つけ出す最先端技術である。この技術が、考古学にとんでもない革命を起こしている。本書はその最前線の熱気を伝える……more
-
『地方選 無風王国の「変人」を追う』
米大統領選にも負けない!日本の地方選挙の面白さ2020年11月06日「84.2%」これは、町村長の再選率の数字である。この数字はまた、いかに「無風状態」の自治体が多いかも示している。対立候補も立たず、無投票で現職が再選を重ねてしまう。こんな状態で、民意がちゃんと地方自治に反映されていると言えるのだろうか。本書……more
-
SNSの誤情報ばらまき・意図的な操作にどう立ち向かうのか──『操作される現実―VR・合成音声・ディープフェイクが生む虚構のプロパガンダ』
2020年11月05日本書『操作される現実』は、そうしたコンピュータ・プロパガンダについて大きく話題になりはじめた2016年の米大統領線以前、2012年とかなり初期の頃から研究を重ねてきた専門家のサミュエル・ウーリーによる、2020年の1月に刊行されたばかりの最新……more
-
『もっと! 愛と創造、支配と進歩をもたらすドーパミンの最新脳科学』身近なわりに知らない、その奥深さ
なじみがあるようで想像以上に奥が深いドーパミンのはたらきについて、とっつきやすく興味深い文章で伝えてくれる一冊である。些細なできごとから人の性格の根本にいたるまで、ドーパミンのはたらきを知ることで見えてくるものは多い。ただのポピュラーサイエン……more
-
『諏訪式。』日本有数のクリエイティブな土地の秘密
長野県の諏訪は、諏訪湖を中心に八ヶ岳や霧ヶ峰も含んだ広大な地域だ。中央構造線とフォッサマグナが交わるところであり、縄文の時代から人々が暮らし、諏訪信仰がいまも息づく地でもある。驚くことに、この諏訪地域には、2000社を超える「ものづくり企業」……more
-
『ワイズカンパニー 知識創造から知識実践への新しいモデル』知識創造から「知恵」へ、人間中心経営への進化
2020年10月31日本書は、経営学者の野中郁次郎と竹内弘高による世界的ベストセラー『知識創造企業』の四半世紀ぶりの続編である。ナレッジマネジメント分野では最も重要な文献の1つとされるこの前著では、新しい組織的知識がSECI(セキ)(共同化 Socializati……more
-
偉大な父の子、鷗外の三男坊『類』の物語
2020年10月30日明治の大文豪にして、陸軍軍医総監まで登り詰めた森鷗外、林太郎。鷗外の5人の子どもの三男坊にして末っ子、類。偉大なる父の子として期待されるが、どうにも何をしてもうまくいかない。その類の生涯が、直木賞作家・朝井まかてにより鮮やかに描かれた伝記小説……more
-
アメリカのいまが見えてくるMUSIC『ディス・イズ・アメリカ』
『ディス・イズ・アメリカ』はTBSラジオの「ジェーン・スー生活は踊る」「アフター6ジャンクション」「荻上チキSession-22」などで放送した音楽特集から、アメリカの政治的・社会的トピックに関連する解説を抜粋し、さらに音楽メディアに寄稿し……more
-
ウンコするならこれを読め!『ウンコはどこから来て、どこへ行くのか ―人糞地理学ことはじめ』
2020年10月27日汚いと蔑まれがちなウンコ。しかし、その昔、人糞は肥料として尊ばれ、うまくリサイクルされていた。しかし、時代は流れ、不要な汚物という烙印を押されるようになってしまった。その変遷を丹念にたどる素晴らしい学術エンターテインメントだ。…more
-
『ルポ新大久保 移民最前線都市を歩く』自ら移り住んだ著者が多国籍タウンの今を活写
2020年10月24日東京・新大久保といえば韓国のイメージが強い。韓流アイドルの関連グッズや化粧品を求めて客が押し寄せる光景はテレビでもおなじみだ。だが、コリアンタウンとしての顔は一面で、今や「東南アジアの下町」の様相が色濃くなっているというから驚く。本書では、新……more
-
『ブループリント 「よい未来」を築くための進化論と人類史』分断された世界に広がる、たった1つの設計図
2020年10月17日遺伝子を単に才能や特徴など個人レベルの違いの源泉とするのは、一面的な捉え方でしかないと本書は教えてくれる。本書によると、私たちの遺伝子には集団や社会を形成するのに必須となる設計図が刻まれている。そして、どんな集団も、その設計図に則って共通の構……more
-
『バブル』幻冬舎の元看板編集者が語るあのボスとの出会いから別れまでー。
2020年10月16日著者の山口ミルコさんは1965年生まれ。89年には24歳。新卒時は、まさにバブル期のど真ん中で働く保険会社の普通のOLのひとりだった。あるきっかけでボスに紹介された著者は角川書店に転職した。そこから20年ほどの間、彼女は怒涛の編集者生活を送る……more
-
楽しくて、切なくて、愛おしい『アレックスと私』
「全米が泣いた!」――ひと昔前のハリウッド映画の陳腐な宣伝のようだが、本書はアレックスの死によってまさに「全米が泣いた」場面から始まる。ニューヨーク・タイムズ紙をはじめ、さまざまなメディアが彼の訃報を伝え、著者のもとには多くの悲しみの声や励ま……more
-
『京都に女王と呼ばれた作家がいた』時代の寵児を描いた覚悟の評伝
2020年10月11日山村美紗の訃報は衝撃的だった。1996年9月、帝国ホテルで執筆中に心不全を起こし62歳の生涯を終えた。超売れっ子の作家の死は大騒動となる。亡骸は京都に戻り、ゆかりのお寺で葬儀が営まれ、参列者には出版関係者はもとより、テレビ、映画関係者や俳優……more
-
『言論の不自由 香港、そしてグローバル民主主義にいま何が起こっているのか』強権化する大国中国と それに抗う若者たち
2020年10月10日2017年から香港特別行政区行政長官選挙を普通選挙で行うという約束を、14年に中国政府が反故にしたことに反発する市民らが行った抗議活動、「雨傘運動」は、日本でも大きなニュースになった。この運動で中心的な役割を果たした組織が「学民思潮」だ。本書……more