医学・心理学
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しなやかに死を語る軽やかな対談 『いつか来る死』
2021年01月16日在宅医療の小堀鷗一郎医師と糸井重里氏による死をめぐる対談。それぞれの死はいかに個別的なのか。「『縁起でもない』をやめよう」、「どんな死を望むのか、普段から考えておく」、「死を健康に考える、死と手をつなぐ」といったことは誰もが頭に入れておくべき……more
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『患者の話は医師にどう聞こえるのか』コミュニケーションにこんなにエビデンスがあるのか!
本書はエビデンスを並べて、一つの事実を高らかに主張するタイプの本ではない。医師と患者、双方からのストーリーを聞くことで、チグハグになっている診療室でのコミュニケーションを浮き彫りにする本である。それと同時に、医師と患者のコミュニケーションが持……more
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誰もが当事者として考えるべきであるという問題提議 『ルポ 「命の選別」誰が弱者を切り捨てるのか?』
2021年01月03日『ルポ「命の選別」 誰が弱者を切り捨てるのか?』では、リアルな事例を元に、現れつつある「優生社会」のさまざまな問題点が明らかにされていく。誰もが当事者として考えねばならない問題だ。…more
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『もっと! 愛と創造、支配と進歩をもたらすドーパミンの最新脳科学』身近なわりに知らない、その奥深さ
なじみがあるようで想像以上に奥が深いドーパミンのはたらきについて、とっつきやすく興味深い文章で伝えてくれる一冊である。些細なできごとから人の性格の根本にいたるまで、ドーパミンのはたらきを知ることで見えてくるものは多い。ただのポピュラーサイエン……more
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『ワクチン・レース〜ウイルス感染症と戦った科学者、政治家、そして犠牲者たち』
2020年10月26日細胞の分裂回数が有限であるという画期的な発見をした「マッドサイエンティスト」、レオナルド・ヘイフリック。その樹立した細胞株から、ワクチン開発競争に巻き込まれていく。新型コロナウイルスのワクチン・レースまっただ中の今、読まれるべき一冊だ。…more
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『闇の脳科学「完全な人間」をつくる』 その先駆者の栄光と悲劇、そして「脳操作」の現在と未来
脳機能を操作する深部脳刺激(DBS)。すでにパーキンソン病の治療などに用いられているが、精神疾患の治療や心理操作など、さまざまな応用が可能だとされている。その先駆者である精神科医ロバート・ガルブレイス・ヒースはどのような人物でいかなる「人体実……more
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楽しくて、切なくて、愛おしい『アレックスと私』
「全米が泣いた!」――ひと昔前のハリウッド映画の陳腐な宣伝のようだが、本書はアレックスの死によってまさに「全米が泣いた」場面から始まる。ニューヨーク・タイムズ紙をはじめ、さまざまなメディアが彼の訃報を伝え、著者のもとには多くの悲しみの声や励ま……more
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『がんと闘う病院』知りたい情報を得る手掛かりに
2020年10月08日20年1月末、武漢から帰国した在留邦人の患者を収容した都内の病院の一つが都立駒込病院だ。1879年に感染症の専門病院として開設された経緯から、新型コロナ治療でも最前線を担っている。1975年には、「がんと感染症」に重点を置く総合病院に生まれ変……more
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『自閉症は津軽弁を話さない』文庫版著者あとがき
2020年09月26日妻の何気ない「自閉症の子どもって津軽弁しゃべんねっきゃ(話さないよねぇ)」というひとことに、私は10年ものあいだ「本当に?」「どうして、なぜ?」と問い続けました。そして同時に湧き上がった疑問。 「なぜ、他の人は目の前にあることを不思議に思わ……more
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『食べることと出すこと』想像しようという努力、想像できるという傲慢
2020年09月24日本書は、単に「難病患者の苦労話」ではない。当事者として丁寧に事実を積み上げてこそ見えてきた、私たちの社会のあり方への、大事な視点の提示である。 私自身、いままで無自覚に放ってきた言葉の数々について、一旦、立ち止まって考えざるをえないなと感じ……more
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『誰が命を救うのか 原発事故と闘った医師たちの記録』指揮命令系統が崩壊するなか、最前線に立った人々の記録
東日本大震災の原発事故。その大混乱のなか、負傷者の受け入れ先になったのは福島県立医科大学付属病院。県内で唯一の二次被ばく医療機関の指定を受けていた。対応を任されたのは救急外来のリーダー長谷川有史。しかし彼には原子力災害から発生した負傷者を診療……more
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『眠りがもたらす奇怪な出来事──脳と心の深淵に迫る』 夢遊運転病、セクソムニア、非24時間睡眠覚醒症候群
著者のガイ・レシュジナーは、睡眠を専門とする高名な神経科医である。彼が勤務するロンドンの睡眠障害クリニックには、種々の問題を抱えた患者がイギリス中から集まってくる。それらの症例はじつに不可思議で、彼らの経験談はじつに衝撃的だ。その点を鮮やかな……more
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誰でもわかる『みんなに話したくなる感染症のはなし』、みんな読んでね! <自著の前書きです
2020年08月28日中学生にもわかる感染症の本。ウイルス、細菌、免疫について、とりあえずこれくらいを知っておいたら大丈夫。新型コロナウイルスの報道でさまざまな情報が飛び交う中、正しい感染症リテラシーを身につけてもらおうと書きました。やさしく書いてあるけど内容はけ……more
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なんたるガッツ!『明治を生きた男装の女医』がスゴすぎる
高橋瑞(たかはし みず)、嘉永5年(1852年)生まれ。その名を知っている人はどれくらいいるだろう。日本で三番目に医師国家資格を取得した女性である。『明治を生きた男装の女医』は、その人生を丹念に綴った伝記小説だ。とんでもない根性で生き抜いた……more
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真打ち登場!テレビを見るならこれを読め『新型コロナウイルスを制圧する』
いわずとしれた新型コロナウイルス。さまざまなことについて百家争鳴といってもいいような状態だ。我々が知るべきなのは、なにがわかっていてなにがわかっていないのか、そして、確実なエビデンスに基づいてどう考えるべきなのか、である。文字通り日本を代表す……more