『冒険歌手 珍・世界最悪の旅』著者インタビュー
まだ見ぬ「峠 恵子」を求めて
冒険に行って、友達が増えた。
内藤:冒険に行く前と後で、なんか変わったことってありますか?
峠 :人脈と物欲。物欲は単になくなったっていうだけだけど、とにかく人脈は増えたのよ。ヨット関係でお金持ち、いわゆる葉山マリーナ、逗子マリーナあたりの億万長者の友達がいっぱいできる。ヨットでこんな冒険をやりましたって言うと、「今度じゃあうちのパーティーおいでよ」なんて言われて、行くとカーペンターズとかも歌えちゃうわけじゃない笑
成城大学っていうブランドに守られているところも大きいかな。ウンコ、オシッコ、ゲロしてても、成城大学出身ならOKみたいなところってあるからね。切り札なのよ。今度、成城大学の卒業生向けの会報誌で、「卒業生が本を出しました」っていうコーナーにも、この本で出ちゃうんですって。
内藤:音楽活動への影響はあったのですか?
峠 :以前は、ステージに出る前に着飾ったりとか、そういうことに一生懸命だったんだけど、今は歌うことだけに専念しているかな。着飾ることよりも、己の肉体から出るもの。あ、ウンコとかオシッコの方じゃないわよ(笑) 。自分で作るオリジナルの歌も、チマチマした恋愛モノとかじゃなくて、人生的なものが歌えるようになったなぁ。
結婚とは助け合い!
内藤:ご自身の何が、このような不思議な出来事を引き寄せていると思いますか?
峠 :分からない。わりと、どこ行っても楽しいんで(笑)。あの人と結婚したのも、そうでしょ。あ、旦那です。(ここで突然、旦那さん登場。巻末特別収録に出てくる「波動療法」の旦那さんである)
内藤:エッ(目が点)
峠 :(旦那さんに向かって)あんたさ〜、お客さんにビールくらい出しなさいよ。
内藤:・・・。いや〜 結婚観が、非常に特殊ですよね。毎回相手の顔も思い出せないくらいのタイミングで結婚するでしょう。恋愛の延長線上に結婚というものがないんですか?
峠 :それは、そう! 私、結婚は「助け合い」と思ってますから。恋愛結婚した友達で、離婚した人だって多いし。うちの両親も恋愛結婚じゃなくて、じゃあ根本的に気が合うのかと言ったらそれほどでもないんだけど、父は会社を立派にして、母は家を守って。だから気が合わなくても、お互いを支えっていければ良いんじゃないかと。
内藤:じゃぁ、どちらかというと、ビジネス・パートナーに近い感じですか?
峠 :そう、そう、そう。だから何の前触れもなく、突然結婚しちゃうんです。ロタ島の時もただロタ島に住みたかっただけなんですよ。あそこは海の透明度が世界一で、すっごい綺麗なんです。
「もしも」があるのなら
内藤:今、藤原隊長から、「恵子、もう一回三人で冒険に行くぞ!」って言われたらどうします?「きっと面白ことがあるぞ」なんて言われちゃって。
峠 :いやぁ〜、どちらかというと、高野さん(高野秀行さん)と行きたい(笑)。高野さんとアヘン中毒になってみたいわ(笑)。ユースケは真面目すぎるところがあるけど、高野さんは面白いもんね、あの人。
私、高野さんの大ファンで。高野さんが「奇書中の奇書」って言ってるからビックリしちゃって、あなたの方が変人よってね(笑)そういえば、ユースケも、あきらかに変人であるとか書いてたわね。おかげで旦那と夫婦喧嘩すると、「高野さんも、角幡さんも、お前のこと変人って言ってんだから認めろよ」とか言われちゃって、大変♪
内藤:じゃあ、HONZで高野さんと対談でもやってくださいよ!
峠 :やりたい! やりたい!ライブにもご招待させていただいてるんですけど、なかなかタイミングが合わなくて。
内藤:今後、冒険してみたいことってあるんですか?
峠 :ん〜どうだろうな。もう年取っちゃったし、主婦だし、婆ちゃんもいるし、猫もいるから。物理的な冒険はもう無理かな。精神的な意味での冒険は、どんどんやっていきたいけど。