『わたしが「軽さ」を取り戻すまで シャルリ・エブドを生き残って』死を免れた女性漫画家の“その後”

東 えりか2019年04月16日 印刷向け表示
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わたしが「軽さ」を取り戻すまで――
作者:カトリーヌ・ムリス 翻訳:大西 愛子
出版社:花伝社
発売日:2019-02-06
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2015年1月7日11時30分、フランスのパリ11区にある風刺新聞社「シャルリ・エブド」に武装した覆面男2人が侵入し、編集会議中の社員に発砲した。編集長、風刺漫画家、コラムニスト、警察官ら合わせて12人が死亡、多数の負傷者を出した。

後に犯人はイスラム過激派のテロリストと判明し、フランス各地で数百万人に及ぶ犠牲者追悼のデモが行われた。

本書の原題は『LaLégèreté(軽さ)』。カトリーヌ・ムリスは25歳でシャルリ・エブドに入社し10年目を迎えていた。同社で唯一の女性風刺画家として報道イラストやフランス語圏のマンガ「バンド・デシネ」を発表していた。襲撃当日の編集会議にも参加予定であったが、ある事情で遅刻したため、命拾いをした。(参照:翻訳者による「COMICSTREET」のインタビュー

バンド・デシネの画風で描かれている本書の冒頭で、彼女が遅刻をしたある事情が明かされる。不倫相手に別れを切り出されていたようなのだ。ベッドの中で悶々とし、ようやくバスに乗り、何とか会社に到着したその直前に、編集部は襲撃され仲間は人質に取られていた。編集部から銃声が聞こえてきた。

翌日、絶望と混乱の中、死者とともに最終校正に入る。考えがまとまらないなか、基本に戻ろうと努力する。シャルリ精神とは「人生のバカバカしさを笑い飛ばし、何も恐れずにいること。特に死を恐れないこと」

『生存者の号』と呼ばれたこの号の校了翌日、カトリーヌは意識を失う。

ここから彼女の魂の放浪が始まる。マルセル・プルーストの熱烈な信奉者であったはずなのに、『失われた時を求めて』の文章が身体の上をすべっていく。毎晩、同じ悪夢に取りつかれ、24時間の警護がつく。

パニック、麻痺、人格の解離の症状で、彼女は精神科医に縋り、心が休まる場所を探してローマに旅立つ。

前半のモノトーンの絵から後半の鮮やかな色彩に変化していく。彼女の回復が鮮やかに記録されている。(週刊新潮3/28号から転載)

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シャルリとは誰か? 人種差別と没落する西欧 ((文春新書))
作者:エマニュエル トッド 翻訳:堀 茂樹
出版社:文藝春秋
発売日:2016-01-20
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