楽しく読めて役に立つ『からだと病気のしくみ講義』はサルでも読める医学書だ!(←自著誇大広告です)

仲野 徹2019年12月25日 印刷向け表示
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医学部を卒業して40年近くになります。その間に医学は飛躍的に進歩し、昔だったら治らなかった病気も治せるようになってきました。「人生100年時代」と言われるようになったのも、そのおかげです。

ただ、大きく進歩した分、医療はとても複雑になりました。ある病気に対して、選べる治療法が増え、薬の種類も多くなっています。私は大阪大学医学部で病理学を教えているのですが、今の医学生は、覚えることが多くて大変やなと思います。

当然、医師に求められる専門性は高くなり、病院の診療科の種類もずいぶん増えました。昔は内科だけだったのが、今では血液内科とか呼吸器内科とか消化器内科とかに分かれていて、病院で、「どこに行ったらええねん!」と思われることがあるかもしれません。

ある意味ではややこしくなってしまったのですが、その現代医療の恩恵をきちんとうけて、健康で長生きするためには、これまで以上に自分の体のことを理解しておく必要があります。

かつては、お医者さんに「ああしなさい」「こうしなさい」と言われることを聞いていればよかったのですが、最近では、患者さん自身が治療法を選択することになっています。お医者さんの説明をうける時、「ようわからんけど、忙しそうやし、あんまりしつこくよう聞かんわ」となるかもしれません。そうなると、十分に理解しないまま、大事な決断をするようなことになりかねません。

だから、ある種の自己防衛として、「最低限の体の仕組みは知っておいたほうがええんちゃいますか?」というのが本書の趣旨です。そして、いくつかのありふれた病気については、どのようにして発症するのかを説明してあります。

体がどのように成り立っているのか、基本的なことがわからなければ、病気の理解には至りません。まずは正常な体の機能を知ってもらって、そのうえで病気との関係を、という考えのもとに書いてみました。

体の中では、たくさんの種類の細胞や組織がつながり合って、さまざまな機能を成立させています。知れば知るほど、よくこれだけ複雑なシステムが何十年も働くもんやなぁ、生きてるってすごいことやなぁ、と感心してしまいます。おかしな言い方ですが、病気にならないで健康でいられることが不思議なくらいです。

本書では、そんな不思議ですごい体の中の4つのシステム、血液系、循環器系、呼吸器系、消化器系について紹介します。自分の体の中で、何がどうつながり、働いてくれているか、楽しみながら学んでみてください。きっと、自分の体が愛おしくてたまらなくなるはずです。

まずは、体の成り立ちの基本を押さえておきましょう。人体には、約37兆個、250〜300種類の細胞があるとされています。それらの細胞が何種類か集まって、機能を発揮する組織が作られ、さらにいくつかの組織によって、さまざまな臓器(器官ということもあります)が作られています。

器官は、心臓、肺、胃、肝臓、脳などがあり、それぞれ独自の機能を持って体の活動を支える中心的役割を果たしています。

同じ目的の機能を連携しておこなう器官を、まとめて「〇〇系」と呼びます。たとえば、食道、胃、小腸、大腸、肝臓、膵すい臓ぞうなどは、消化に関係するので「消化器系」です。消化のための機能を持つ「システム」と考えるといいでしょう。病院の診療科に、血液内科や呼吸器内科、消化器内科などとあるのは、おおよそこういったシステムに対応しています。膵臓が消化器系と内分泌系の両方の機能を持つ、といったようにひとつの器官が複数のシステムに属していることもあります。

体のシステムに限らず、「なんとかシステム」というものは、うまく機能している時は意識することがありません。しかし、一旦不具合がおきると、全体が困ったことになります。体の中のあるシステムが不調をきたすのが病気です。

私たちの体の隅々まで酸素や栄養分を運搬してくれる血液は「血液系」で、それを滞とどこおりなく動かすのは「循環器系」です。そして、末梢へと運ばれる酸素は「呼吸器系」で取り込まれ、栄養は「消化器系」が消化して吸収し、血液系、循環器系を通じて運ばれていきます。このように、体の中は、いくつものシステム、器官、組織が、つながって成り立っているのです。

そんな「体の中のつながり」を意識しながら、体の仕組みを探っていきましょう。

『からだと病気のしくみ講義』まえがきから

こわいもの知らずの病理学講義
作者:仲野徹
出版社:晶文社
発売日:2017-09-19
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なんと22刷、7万6千部のベストセラー。ちょっと難しいと言われることもありますが、この程度の医学リテラシーは必要な世の中です。HONZでは村上がレビューしてくれました。
 

(あまり)病気をしない暮らし
作者:仲野徹
出版社:晶文社
発売日:2018-12-06
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 『こわいもの知らず……』に次いで、2匹目のドジョウを狙って出しました。読み切りのエッセイ形式なので、こちらの方が読みやすいです。
 

おしゃべりながんの図鑑 病理学から見たわかりやすいがんの話
作者:小倉 加奈子
出版社:CCCメディアハウス
発売日:2019-06-27
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 ホンモノの病理医、小倉加奈子先生の本。わたしも対談相手として登場してます。拙レビューはこちら

 

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ノンフィクションはこれを読め!  2014 - HONZが選んだ100冊
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発売日:2014-10-24
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