東 えりか
2008年に書評家として独立。「週刊新潮」と「ミステリーマガジン」などでノンフィクションの書評担当のほか、「信濃毎日新聞」の書評委員。現在は小説の書評の仕事と半々。「NEWS本の雑誌」の記者でもある。好んで読むのは科学もの、歴史、古典芸能、冒険譚など。
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北方謙三、全ての記録『完全版 十字路が見えるⅠ-Ⅳ』
2023年8月5日「北方謙三は長篇作家」。たしかにそのイメージは強い。『三国志』から始まった中国史シリーズはユーラシア大陸を駆け抜けた『チンギス紀』が…more
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『射精責任』望まない妊娠の全ての原因は男性にある!
2023年7月21日きっかけは以下のツイートから始まる63個からなる一連のスレッドだった。 私は6児の母であり、モルモン教徒です。宗教的なことも含めて、…more
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『ニッポン美食立国論』食の「ヘンタイ」を発掘せよ!ネット時代の「美食」ツーリズム
もはや新型コロナは過ぎ去ったかのように、人は旅を楽しんでいる。異国への興味はどの国の人も等しく持っているらしく日本の観光地は外国人で…more
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『からだの美』その生きものが輝くとき神が身体に宿るのだ
2023年6月13日小川洋子さんが綴る物語は美しい。小説も随筆も、ざわついた心を落ち着かせてくれる。一言一言考え抜かれたであろう言葉に、忘れていた思い出…more
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『くもをさがす』異国の地で経験した祈りと感謝
テヘラン生まれ大阪育ちの直木賞作家、西加奈子さんがカナダのバンクーバーで乳がんに罹った。本書はその治療過程の経験談とともに、カナダの…more
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『高倉健、最後の季節。』ある映画俳優の最期。
2023年6月9日一度だけ、高倉健さんにお会いしたことがある。 私が北方謙三氏の秘書をしていた時のことだ。イベントで北方ボスと高倉さんが話をしていると…more
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『奇跡のフォント 教科書が読めない子どもを知って ーUDデジタル教科書体 開発物語』書体デザイナー、渾身のドキュメント!
「ディスレクシア(発達性読み書き障害)」という障害があることを知ったのは、ほんの数年前のことだ。トム・クルーズがこの学習障害で、台本…more
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『母は死ねない』“子のために”という重荷
2023年5月29日2022年、イスラエルの社会学者が著した『母親になって後悔してる』が、メディアで大きく取り上げられた。母親という呪縛に囚われた世間へ…more
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『黒い海 船は突然深海へ消えた』船はなぜ沈没したのか、その真実とは
2023年5月22日海難事故といえば古くはタイタニック号事件、最近だと韓国のセウォル号沈没事故を覚えている人も多いだろう。この船には多くの修学旅行生が乗…more
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『失くした「言葉」を取り戻すまで 脳梗塞で左脳の1/4が壊れた私』家族一丸で取り組む前向き闘病記
2023年4月28日清水ちなみは1987年に『週刊文春』で始まった「おじさん改造講座」というコラムの著者である。会社という閉じた世界に棲息する「おじさん…more
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『ボーダー 移民と難民』『北関東「移民」アンダーグラウンド』 日本に住む“移民たち”の裏表
日本が難民の受け入れに厳しいことは知っていた。しかし生活圏内のコンビニや建築現場などに外国人がたくさん働いていて、いまやなくてはなら…more
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『おやじはニーチェ 認知症の父と過ごした436日』ボケた父親との会話は禅問答
超高齢者社会をひた走る日本では、親族に認知症がいるのは珍しくない。コロナ禍で人に会わなくなって発症者が増えたのか、街中で怒鳴る老紳士…more
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『巨大おけを絶やすな!日本の食文化を未来につなぐ』最後の桶屋に弟子入りし大桶作りを習う波乱万丈の奮闘記
日本酒、味噌、醤油。木の大桶で仕込む日本古来の伝統食材だ。 ここ数年、こだわりの食品を好む消費者が増え、ステンレスやホーローなど近代…more
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『ある行旅死亡人の物語』あなたは誰?身元をたどる渾身のルポルタージュ
2023年2月4日「行旅死亡人」とは病気や行き倒れ、自殺等で亡くなった身元不明の死者を表す法律用語である。死亡人は身体的特徴や発見時の状況を官報に公告…more
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『太陽の子 日本がアフリカに置き去りにした秘密』子どもたちは生きている。父親に切り捨てられても。
2023年1月20日アフリカ中部に位置するコンゴ民主共和国(旧ザイール)は地下資源に富んだ国だ。1970年代、日本企業はこの地に進出し鉱山を開設、多数の…more