先月出た本 2021年6月

古幡 瑞穂2021年06月06日 印刷向け表示
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5月の書店店頭はすこーし静かな感じでした。どんな本が売れていたのでしょうか。

先月出た本の売上ランキングから売場を見ていきましょう。

日販オープンネットワークWINから5月発売のタイトルとHONZのレビュー対象となるノンフィクションジャンルのタイトルを抽出しランキングを作成しています。(2021/5/1~2021/5/31の売上)

HONZでもおなじみの堀内勉の『読書大全』は20位にランクイン。4位に入った『取材・執筆・推敲』と揃って400ページ超えの大作です。どちらも長いお休みのお供にぴったり。

注目株は石原慎太郎が書いた『あるヤクザの生涯安藤昇伝』でしょう。元ヤクザ組長でその後俳優として活躍したという安藤昇は、その異色の経歴もあり多くの著書を残しています。今回は、石原慎太郎がその姿を描いたということで話題となっています。

あるヤクザの生涯 安藤昇伝
作者:石原 慎太郎
出版社:幻冬舎
発売日:2021-05-12
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  出版社 書名 著者
1 産経新聞出版 『赤い日本』 櫻井よしこ
2 扶桑社 『コロナ論』 小林よしのり
3 幻冬舎 『あるヤクザの生涯安藤昇伝』 石原慎太郎
4 岩波書店 『岸惠子自伝』 岸惠子
5 SBクリエイティブ 『日本人が知らない世界の黒幕』 馬渕睦夫
6 光文社 『プロイセン王家12の物語』 中野京子
7 宝島社 『悪の処世術』 佐藤優
8 文藝春秋 『枝野ビジョン』 枝野幸男
9 講談社 『藤井聡太論』 谷川浩司
10 宝島社 『女子大生風俗嬢』 中村淳彦
11 新潮社 『国家の尊厳』 先崎彰容
12 SBクリエイティブ 『最新の脳研究でわかった!自律する子の育て方』 工藤勇一
12 講談社 『喰うか喰われるか』 溝口敦
14 新潮社 『現役引退』 中溝康隆
15 PHP研究所 『戦争というもの』 半藤一利
16 祥伝社 『コロナと無責任な人たち』 適菜収
17 幻冬舎 『奇跡のバックホーム』 横田慎太郎
18 祥伝社 『糖尿病が怖いので、最新情報を取材してみた』 堀江貴文
19 筑摩書房 『現代ロシアの軍事戦略』 小泉悠
20 朝日新聞出版 『定年後の居場所』 楠木新

他にも気になる新刊がたくさん!5月発売の気になった本を少しご紹介していきます。

裏切り者
作者:アストリッド・ホーレーダー
出版社:早川書房
発売日:2021-05-22
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1983年、ビール会社ハイネケンのCEOが誘拐されたという事件が起こりました。20億円を超える身代金を要求され、世界中を震撼させることになったこの事件は映画などにもなっています。誘拐されたハイネケン氏は監禁後無事に解放されてその後犯人も逮捕…というエンディングを迎えています。

この本の著者は犯人の1人、ウィレム・ホーレーダーの妹です。ウィレムの事件後の姿を間近で見、罪を告発する側に回った妹が何を感じていたのか。オランダではベストセラーになった1冊です。
 

チャイニーズ・タイプライター-漢字と技術の近代史 (単行本)
作者:トーマス・S・マラニー
出版社:中央公論新社
発売日:2021-05-19
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漢字圏の人が初めてタイプライターというものを見たとき、どんな感想を持ったのでしょう。今や、だれしもが当たり前のようにアルファベットが書かれたキーボードを打っているわけですが、中国語がそこまでに行き着くまでには数々のドラマがありました。というお話。

タイプライターを起点として、文化や技術の動きを語った興味深い作品です。
 

超加速経済アフリカ: LEAPFROGで変わる未来のビジネス地図
作者:椿 進
出版社:東洋経済新報社
発売日:2021-05-28
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発展途上イメージの強いアフリカが超速で先進国に近づいてきている!という現実を教えてくれるのがこちら。凝り固まったイメージは、真実から目をそらさせがちですが、キャッシュレス化率は日本の状況を遙かに凌駕し、医療や文化にも革新の嵐。もしかしたらSFに出てくるような近未来の都市はアフリカに作られるのかもしれません。

アフリカのファクトフルネス!と出版社が激推し中。頭を切替えるために読んでみませんか。
 

疫病と人類知 新型コロナウイルスが私たちにもたらした深遠かつ永続的な影響
作者:ニコラス・クリスタキス
出版社:講談社
発売日:2021-05-10
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新型コロナウイルスが明らかにした科学、社会の問題を考える本が増えてきています。この本を書いたのは『ブループリント』で社会の行き先の明るさを描いたニコラス・クリスタキス。『blueprint』は2019年3月に発売された著書だったため、コロナ禍による社会の変化を踏まえた内容になっていません。ネットワーク科学の先駆者は「人の繋がりを絶つこと」が対策になるとされた新型コロナウイルスとの戦いをどう見て、どういう未来を描いているのでしょう。
 

あなたが消された未来――テクノロジーと優生思想の売り込みについて
作者:ジョージ・エストライク
出版社:みすず書房
発売日:2021-05-19
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一部の先端的なバイオテクノロジーが、優生学的な面を使って売られていると著者は提起しています。著者自身がダウン症の子どもを持つ身。バイオ企業の広告や科学者の発言を見ていると、それらが描き出す未来のビジョンから障害者が消された存在であることが見えてきたそう。あくまで「自己決定」と言われながら、こういった刷り込みと説得力のもとに行われる自己決定とは何なのでしょうか。

当たり前に見ていたものの見え方が変わってきそうです。

自粛生活が長引くことで、取材が難しくなり執筆にも時間がかかっている。といった声も聞かれるようになってきました。一方で、コロナ禍を見てその後の未来を想像するような本も増えてきています。心に残る本との出会いがありますように。

決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
発売日:2021-07-07
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『決定版-HONZが選んだノンフィクション』発売されました!

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