先月出た本 2021年10月

古幡 瑞穂2021年10月04日 印刷向け表示
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

9月に入り、そろそろノーベル賞受賞者が誰になるのか、どんな本が出ているのかという話題が聞かれ始めました。最新技術に迫れるのもノンフィクションの醍醐味。9月はどんな本が発売になっていたのでしょうか。

日販オープンネットワークWINから9月発売のタイトルとHONZのレビュー対象となるノンフィクションジャンルのタイトルを抽出しランキングを作成しています。(2021/9/1~2021/9/30の売上)

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー 2』がダントツの強さを見せました。文庫化された前作もあわせて売れている他、『他社の靴を履く』などブレイディみかこの著作とあわせて購入する人も多くファンの力を感じています。

注目したいのが人体をテーマにした本です。9月はランクインした『すばらしい人体』の他『人体大全』も発売されており、人体について考える良書が揃いました。『すばらしい人体』は外科医けいゆうとして活躍する著者によるサイエンス書。初心者でも興味深く読めるとぐんぐん順位を上げています。

すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険
作者:山本 健人
出版社:ダイヤモンド社
発売日:2021-09-01
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub
  出版社名 書名 著者
1 新潮社 『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー2』 ブレイディみかこ
2 ワック 『美しく、強く、成長する国へ。』 高市早苗
3 新潮社 『アホか。』 百田尚樹
4 NHK出版 『デジタル・ファシズム』 堤未果
5 講談社 『会社がなくなる!』 丹羽宇一郎
6 ダイヤモンド社 『すばらしい人体 あなたの体をめぐる知的冒険』 山本健人
7 誠文堂新光社 『Blood, Sweat & Tears-BTSのすべて』 タマール・ハーマン
8 筑摩書房 『批評の教室』 北村紗衣
9 文藝春秋 『嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか』 鈴木忠平
10 SBクリエイティブ 『危ない読書』 佐藤優
11 岩波書店 『ヒトラー』 芝健介
12 中央公論新社 『荘園』 伊藤俊一
13 扶桑社 『日本史の論点』 本郷和人
14 祥伝社 『世界を変える5つのテクノロジー
 SDGs、ESGの最前線』
山本康正
15 朝日新聞出版 『歴史のダイヤグラム』 原武史
16 NHK出版 『鎌倉殿と執権北条氏』 坂井孝一
17 SBクリエイティブ 『観察力の鍛え方』 佐渡島庸平
18 新潮社 『ビートルズ』 北中正和
19 宝島社 『それでもがんばる! どんまいなちっちゃいいきもの図鑑』 今泉忠明
20 毎日新聞出版 『権力は腐敗する』 前川喜平

他にも気になる新刊がたくさん!9月発売の気になった本を少しご紹介していきます。

なぜ心はこんなに脆いのか: 不安や抑うつの進化心理学
作者:ランドルフ・M・ネシー
出版社:草思社
発売日:2021-09-21
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

心にからむ病や症状は私たちにとってはデメリットでしかありません。が、こういったメカニズムが淘汰されずに今まで残っていたということには意味があるのだと著者は説きます。進化論視点で見たときに、生存のために必要だった理由、不安や「うつ」のような症状が起こる理由が見えてきます。

ただただ「いい気分」が時には有害だという事も。心の秘密に迫る作品。
 

死体格差 異状死17万人の衝撃
作者:山田 敏弘
出版社:新潮社
発売日:2021-09-16
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

今ほど「死」が身近だった日々はないでしょう。特に「自宅で死亡する」ということについて、若い世代も含め多くの人が考えた時期だったと思います。病院外で死なないと「異状死」とされるという事はよく知られたことですが、その数は年間17万人にも及んでいるのだそうです。ただ、それら全てが解剖され、死因が究明されているかというとそうではなく、不明のままになっているケースもあります。それはどんな課題を生んでいるのか。死体にも地域格差があるというその実態はどうなっているのか。告発ルポです。
 

それでも選挙に行く理由
作者:アダム・プシェヴォスキ
出版社:白水社
発売日:2021-09-18
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

自民党総裁選に揺れ動いた9月。とはいえ、ほとんどの一般人にとっては、自民党総裁選は遠いところにある選挙のはずです。民主主義のためには必要不可欠な制度でありながら、選ばれた政治家や政府への失望があたりまえになりつつある中、選挙が落胆に繋がるその理由に迫った1冊です。

帯にある「選挙とは「紙でできた石つぶて」である。」という言葉が刺さります。
 

ディープフェイク ニセ情報の拡散者たち
作者:ニーナ・シック
出版社:日経ナショナルジオグラフィック社
発売日:2021-09-17
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

AI技術の進化は希望とともに数々の不安や課題も生みだしています。最近話題になっているのが「ディープフェイク」。やっていないことをやっていたとされ、言っていないことを言ったとされるその世の中では、全ての情報が危険で信用出来ないものに変わっていきます。

ポルノの世界から始まったというディープフェイク。その現状と、それに立ち向かうための方法が説かれています。
 

人間狩り―― 狩猟権力の歴史と哲学
作者:グレゴワール・シャマユー
出版社:明石書店
発売日:2021-10-01
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

そもそも人は狩りの対象だった。と著者は提起しています。捕まえ、追放し、時に殺害する。先住民、外国人、ユダヤ人、黒人など多くの人がその狩りの対象になりました。時として、狩られるものと狩るものも反転します。狩猟をモデルとした権力と暴力の歴史を読み解く権力論であり哲学論。

ノーベル賞の発表は10月4日から。今年はどんな技術に焦点があたるのでしょうか。秋の夜長に素敵な読書時間をお過ごしください。

決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
発売日:2021-07-07
  • Amazon
  • honto
  • e-hon
  • 紀伊國屋書店
  • HonyzClub

『決定版-HONZが選んだノンフィクション』発売されました!