APU活動記① 待ちに待った出口さんとの再会

2023年2月11日 印刷向け表示
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こんにちは!元学生メンバーの刀根です。久しぶりの合宿レポートに胸が高鳴ります!2023年1月初旬、読売新聞読書委員として活躍された皆様の集まりにHONZもちょこんと乗っけていただき、はるばる大分県まで行ってきました。私、年末からとっても楽しみにしていたのです。だって普段読んでいる本の著者たちに会えるのだから!   

そして、今回の旅がさらに特別なのは、出口治明さんとの再会。出口さんは立命館アジア太平洋大学(以下APU)の学長で、HONZの客員レビュアーでもあります。2021年1月に脳出血で入院されましたが、1年余りのリハビリを経て、昨年1月にAPU学長に復帰されました。『復活の底力 運命を受け入れ、前向きに生きる』では、出口さんのリハビリに励む姿に胸を打たれた方も多いのではないでしょうか。

さぁさぁ、大分1泊の旅、ご笑覧あれ~!

作者: 出口 治明
出版社: 講談社
発売日: 2022/7/21
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最初に旅のメンバーをご紹介します。まずは読売新聞読書委員をお勤めになった皆様です。任期を追えられた後も皆さん仲良くされているのだとか。(※敬称略)

稲泉連(ノンフィクション作家)、岡ノ谷一夫(帝京大学教授)、河合香織(ノンフィクション作家)、清水克行(明治大学教授)、仲野徹(大阪大学名誉教授、HONZメンバー)、そして読書委員の方とつあがりのある安川修一(住友金属鉱山(株)顧問)。出口さんも読売新聞読書委員でご活躍されていましたので、お仲間というわけです。

次にHONZメンバーです。東えりか、足立真穂、塩田春香、刀根明日香の4名。なぜこのメンバーなのかって。それはですね、 2019年に私たちは出口さんにインタビューをした際に「観光×地域振興」について語っていただきました。(インタビューはこちら)今年4月、APUは新たに「サステイナビリティ観光学部」を開設します。開設前のドキドキ緊張感を味わいに我々はやってきたのです。(ちなみにHONZでAPU訪問は今回が2回目です。1回目の首藤によるAPU訪問記はこちら。)

APUでは新しい教学棟と学生寮である新APUハウスを建設中。
新教学棟は、大分県産の木材を大胆に使っています。

今回の旅のメインは、1日目にAPUライブラリーで開催する「本好き集まれ!出口学長と書評サイトHONZレビューアーとの懇談会」。読売読書委員の方々まで含めてHONZの名称で申し訳ないのですが、コロナ前まで行っていた「朝会」のように、本をそれぞれ1冊紹介しました。そして2日目の由布院散策です。由布院では玉の湯会長の溝口薫平さんと、亀の井別荘会長の中谷健太郎さんがお出迎えくださいました。文化人が集う由布院の魅力も後ほどたっぷりとご紹介いたします。

お待ちしていると、左手で電動車いすを華麗に運転しながら出口さんがご登場。塩田と私は、出待ちファン状態で、鼻の穴を膨らませて「おかえりなさい」を連発し、握手を求めました。出口さんの手は大きく暖かく力強い。いつも安心感を与えてくれる出口さんにまたお会いできた喜びは言葉では言い表せません。

出口さん、エネルギーが漲っています!

出口さんは失語症の障害と、口の内側に麻痺が起こる構音障害が残っております。しかし「全体構造法」というリハビリの成果によって大幅にしゃべる力が伸びたそうです。まだスムーズに話すことはできませんが、出口さんの力強く話す言葉に、皆全力で耳を傾けます。

出口さんから3つのお知らせ

ひとつめは、APUに新たな学部が誕生すること。2023年4月に「サステイナビリティ観光学部」を開設します。これまでAPUは2学部体制(アジア太平洋学部、国際経営学部)でしたが、これで3学部体制となり、教育と研究の領域を強化・拡大し、新たなスタートを切ります。APUでは「第2の開学」と位置付けています。観光のあり方はこれまでの団体ツアーや名所旧跡を見て帰るものから、その土地に長く滞在し、文化や生活習慣、伝統などを味わうかたちに変わってきています。「持続可能な地域の発展や価値の再生産」と出口さんが言うとおり、今後の地域のあり方を問うサステナビリティを大分から発信します。

ふたつめは、APU学生の出身国が100カ国を超えたこと。まるで地球の縮図のようです。2022年はベラルーシ共和国とエスワティニ王国から学生を迎え入れ、現在103カ国となりました。出口さんは、APU卒業生が世界に飛び立ち、新たな未来を導いてくれることを期待しています。私はAPU行きのバスで、スリランカ人の学生と一緒になりました。彼女は2年生で友達とルームシェアしていて、その子は別の国の出身だけどとても仲が良いのだと笑顔で話してくれました。APU学生にとって、様々な国の人と一緒に過ごすのは日常的なことなのでしょう。私に対してもオープンに接してくれる姿を見て明るい気持ちになりました。

みっつめは、出口さんの本が2月16日に出版されます。ローマ在住・翻訳家の上野真弓さんとの共著で、『教養としてのローマ史入門 基礎から身につく「大人の教養」』。ローマ史3000年を14人の魅力的な人物を通して見通すことができる一冊です。「皆さん、買って読んでください。」出口さん、きっとこの言葉を言い慣れているんでしょうね。この日一番はっきりと発音されていましたよ!(笑)皆さんも、ぜひ買って読んでくださいね!

作者: 出口 治明,上野 真弓
出版社: 世界文化社
発売日: 2023/2/16
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出口さんが嬉しそうにお話しされてたのがもうひとつありました。出口さんの影響を受けてYoutubeで古典を紹介する方がいます。出口さんの本を読むと、古典に手が伸びますよね。でもそれを継続して読み続けているこの方もすごいです。

出口さんと学内を歩いていると、学生たちが声をかけたり、会釈をしたり、挨拶が飛び交います。思えば、前回のHONZ訪問の際に別府の街を歩いていると、行く先々で「学長!何回生の〇〇です」「学長!卒業生です!」と声をかけられていた出口さん。本当におかえりなさい、出口さん!

さぁ、次はAPUライブラリーに移動して、メインイベントです。学生と本について語ろうの会。テーマは2022年に印象に残った本。どんな本が飛び出すのでしょうか。乞うご期待! 

APU活動記② に続く。

決定版-HONZが選んだノンフィクション (単行本)
作者:成毛 眞
出版社:中央公論新社
発売日:2021-07-07
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