サイエンス
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『「色のふしぎ」と不思議な社会 2020年代の「色覚」言論』最先端科学で探る、「色」の世界
小学校の教室で健康診断が行われている。順番に並んで身長、体重、座高などを測定し、最後に視力検査。さらにそのあと、変な絵を見せられた。オレンジと緑で書き分けられた数字を読み取るという簡単なテストだ。それが分からない人がいるんだって、と帰宅してか……more
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『アルツハイマー征服』連帯が連帯を生む、絶望の中の希望の物語
2021年02月06日現在、全世界で約5000万人の患者とその家族が苦しんでいるアルツハイマー病は、完全に治す方法がないことで知られている。高齢化が進む日本で、今後アルツハイマー病による認知症がさまざまな課題を発生させていくことは想像に難くない。しかしこの病に関す……more
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日本からもオーロラが見えた!『日本に現れたオーロラの謎』
日本でもオーロラが見えていたことをご存じだろうか。しかも、直近では昭和33年、約60年前で、これは写真での記録もバッチリあるという。…more
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理解出来るって楽しい!『LIFE SCIENCE(ライフサイエンス)長生きせざるをえない時代の生命科学講義 』
本書は、その苦手意識を超え、まさに娯楽の本で、読んでいてめちゃくちゃ楽しかったです。いつのまにか「オートファジー」を説明できるようになっている、という感覚です。著者の吉森保先生は、大阪大学大学院で細胞生物学を研究しています。研究のきっかけは、……more
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『WAYFINDING 道を見つける力 人類はナビゲーションで進化した』
2021年01月17日もともと人類はGPSはおろか地図さえない世界で、複雑なナビゲーションを駆使してきた。本書は伝統的なナビゲーション技術をいまなお用いている世界各地の先住民を訪ね、その見事な技を明らかにする。…more
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色覚サイエンスの最先端を知ると、「日本」まで見えてくる――『「色のふしぎ」と不思議な社会』
2021年01月14日「この赤はリンゴの赤だね」と言うとき、どんな赤色を見ているかは、実は人それぞれだ。そもそもヒトがどんな色を視ているかを科学的に考えたことがあまりない。ところがその色覚について、「正常」と「異常」に線引きする時代もあった――それなら色覚とはいっ……more
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『アルツハイマー征服』圧倒的な取材力と筆力で読ませるサイエンス・ノンフィクション!
2021年01月10日本書には、日米欧の多彩な登場人物が、丹念な取材にもとづいて生き生きと描き出されています。下山さんの念頭には、欧米の一流ライターが到達している高みがあったのではないでしょうか。ギャップに架かったこの橋を、今後、日本の新世代ライターが続々と渡って……more
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カエサルの最後の息に含まれた分子を我々は一日に何回吸い込んでいるのか?──『空気と人類 ―いかに〈気体〉を発見し、手なずけてきたか』
2021年01月05日この『空気と人類』は、『スプーンと元素周期表』など様々な化学/科学系のトピックスを扱ってきた作家サム・キーンによる、気体についてのノンフィクションである。…more
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『患者の話は医師にどう聞こえるのか』コミュニケーションにこんなにエビデンスがあるのか!
本書はエビデンスを並べて、一つの事実を高らかに主張するタイプの本ではない。医師と患者、双方からのストーリーを聞くことで、チグハグになっている診療室でのコミュニケーションを浮き彫りにする本である。それと同時に、医師と患者のコミュニケーションが持……more
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『LIFESPAN 老いなき世界』
2020年12月10日最近は横文字そのままのタイトルの翻訳書が随分増えてきた。LIFESPAN(ライフスパン) とは生物の寿命や生存期間のことで、転じて製品の有効期限や耐用期間に使われることもある。そして本書『LIFESPAN 老いなき世界』では、加齢研究の第一人……more
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『サーストン万華鏡』を読む ウィリアム・サーストンの世界
2020年12月03日ここにご紹介する『サーストン万華鏡 人と数学の未来を見つめて』は、サーストンの数学観や、数学と社会との関わりについての彼の考えに迫ることを目指して、八人の日本人筆者が、それぞれ異なる角度から多次元的にアプローチする、たいへんユニークな本です。……more
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『<脳と文明>の暗号 言語と音楽、驚異の起源』文化と人間の「共進化」
2020年12月03日本書は、Harnessed: How Language and Music Mimicked Nature and Transformed Ape to Man(BenBella Books, 2011)の全訳である。著者のマーク・チャンギー……more
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『宇宙考古学の冒険 古代遺跡は人工衛星で探し出せ』最新技術と地道な発掘の組み合わせが起こす革命
2020年11月07日「衛星考古学」や「衛星リモートセンシング」とも呼ばれる宇宙考古学は、人工衛星などで取得したデータを解析し、地中に埋もれている人工物を見つけ出す最先端技術である。この技術が、考古学にとんでもない革命を起こしている。本書はその最前線の熱気を伝える……more
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サミュエル・バトラー『エレホン』を読む 反ダイバーシティと反シンギュラリティの世界
バトラーの『エレホン』は、SFのはしりとも言われるらしいのですが、奇妙な力で現代人の心に波を立て、脳みそに負荷をかける、特異な作品だと思いました。そこでこの作品の不思議さについて、私なりに少し書いてみたいと思います。…more