首藤 淳哉
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『マイホーム山谷』福祉の新たな可能性を描く 小学館ノンフィクション大賞受賞作
2022年5月5日(知らなかった。こんなことになっていたなんて……。) 読みはじめてすぐにそう思った。かつて脚光を浴びた人物の驚くべきその後が記されて…more
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『ぼけますから、よろしくお願いします。おかえりお母さん』認知症の悲しい現実を乗り越えるユーモアの力
2022年5月2日「ぼけますから、よろしくお願いします。」――これは2017年のお正月に著者の母親が言った言葉です。当時87歳の母親は、この時すでに認…more
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『キャッチ・アンド・キル』女性たちに「別の扉」を開いた画期的スクープの裏側
映画業界の性加害報道が相次いでいる。週刊文春の報道をきっかけに被害にあった女性たちが次々に声をあげ、業界にはびこる性暴力の実態が明る…more
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『ベリングキャット』デジタルジャーナリズムの最前線
ジャーナリズムの使命は、「人々が本当に知りたいこと」を伝えることである。 それが唯一にして最大の役割といっていいかもしれない。だが「…more
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『さよなら、野口健』愛憎入り混じる人間ドラマ。新しい人物ノンフィクションの誕生
2022年4月4日本書の書き出しは穏やかではない。なにしろ京都で名高い縁切り神社の話から始まるのだ。そこは「悪縁」を切ることのできる最強の縁切り神社と…more
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『最後の砦となれ』未知のウイルスとの闘いの記録
「あなたはこの先、コロナ禍のことを忘れてしまうだろう」 もし面と向かってこんな予言をされたら、あなたはどんな反応を示すだろうか。「そ…more
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『二本の棘 兵庫県警捜査秘録』元捜査一課長が振り返る痛恨の未解決事件
2022年3月15日「アマチュアは勝ちを語り、プロは負けを語る」という。 本書は、捜査のプロが負けについて語ったものだ。負けた記憶は、警察を辞めた今もな…more
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『おもちゃ』彼女が転落した理由
この人をみるたびに、「アンバランス」という言葉が思い浮かぶ。元参議院議員の河井案里である。芸能人や文化人にもアンバランスな人は多いが…more
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『ヘルシンキ 生活の練習』人生はスキルの練習
2022年2月22日近所を散歩していて、なんだか最近お洒落な女の子が増えた気がするなぁと思っていたのだが、オープンまもない北欧カフェがお目当てらしいとわ…more
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『当事者は嘘をつく』性暴力被害の「新しい語り方」を切り拓く
2022年2月17日傷跡から血が滲み出ているような一冊だ。 読み終えた後もずっと「凄いものを読んだ」という余韻が消えない。早くも今年のベスト級の一冊に出…more
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『AI監獄ウイグル』史上最悪の「AI監獄」は誰によってつくられたか
2022年2月12日新疆ウイグル自治区には約1100万人ものイスラム系ウイグル族が住む。彼らに対する中国政府の苛烈な弾圧はすでに広く報じられ、強制収容所…more
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『誉田哲也が訊く!警察監修プロフェッショナルの横顔』知られざるプロ集団「チーム五社」とは
他人にホラ話を信じさせるコツは、9割の嘘に1割の真実を混ぜることだという。これが刑事ドラマとなると、そうはいかない。合言葉は「3割の…more
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『「切り札」山下泰裕は日本柔道界を変革できるか』暴力、隠ぺい、男尊女卑、反面教師の組織論
書名をみて「ん?」と思った。 「切り札?変革できるか?答えはもう出ているのでは……」 首をひねりながら手に取ったのだが、はたせるかな…more
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保健所の「コロナ戦記」TOKYO2020-2021
混乱の記録である。同時にきわめて貴重な記録でもある。人類の歴史に残る新型コロナウイルスとの闘い。その最前線で何が起きていたのかが本書…more
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『言葉を失ったあとで』耳を傾け言葉を引き出す 「聞く」ことのプロの対話
2022年1月8日ただ、本書が扱うテーマは重い。2人が対峙してきたのは「言葉を失った」人々である。暴力によって尊厳を踏みにじられた人を前にすると、私た…more