おすすめ本レビュー
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『反穀物の人類史──国家誕生のディープヒストリー』 農業の優越性という神話、国家の形成をめぐるパラドックス
2020年1月3日かくも行き渡っているそのストーリーに対して、本書は疑問符を突きつける。なるほど、初期の国家はいずれも農業を基盤とするものであった。だ…more
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『人口減少社会のデザイン』「人口減少社会」に直面する日本に残された選択肢とは
2019年12月29日「集団で一本の道を登る時代」の昭和、「失われた30年」の平成に続く、「人口減少社会」の令和における最大のテーマは、人がどう住み、どの…more
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『お金本』カネには色がないが、使い手には色がある
2019年12月28日経団連の1次集計では、大手企業に限れば冬のボーナスの平均額は過去最高なのだという。ほくほく顔の人もいれば、まったくピンと来ない人もい…more
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赤裸々な告白から学ぶアホと性悪からの脱出法『ほんのちょっと当事者』は世の中を良くするための処方箋だ!
2019年12月27日いろいろな問題を考えるとき、ほんのちょっとでいいから当事者として捉えればいいのではないか。そうすることによって、まわりの人たちの小さ…more
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『ようかん』老舗和菓子屋が代々紡いだ目にも鮮やかな「ようかん全史」
2019年12月26日"虎屋は室町時代後期に京都で創業し、禁裏の菓子御用をつとめてきた。東京遷都の折、明治天皇におともをして東京店を開設した。現在十七代目…more
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麻酔で意識が落ちた時、何が起こっているのか──『意識と感覚のない世界――実のところ、麻酔科医は何をしているのか』
2019年12月25日本書『意識と感覚のない世界』は三〇年以上麻酔科医としての経験を重ね、時に七〇〇グラムの未熟児から、時には人間ではないゴリラまで、幅広…more
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『無敗の男 中村喜四郎 全告白』竹のようなしなやかさを特徴とする組織づくり
2019年12月24日「中村喜四郎」という名を聞いて何を思い浮かべるだろうか。もはやかすかな記憶…「なにか汚職で捕まった人じゃなかったかしら」。若い人たち…more
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『聖なるズー』動物性愛者と過ごした日々、語り合うことで生まれる自由
2019年12月20日動物とセックスをする人たち──そう聞けば、多くの人は激しい嫌悪感を覚えるだろう。しかし読み進めるにつれ、感情は目まぐるしく移り変わっ…more
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東京が生んだ奇跡、代官山『HILLSIDE TERRACE 1969-2019』
"東京屈指の人気の街、代官山。おしゃれなイメージを持っている人も多いだろう。実はこの街は、丹念に手入れされ、長年の努力の積み重ねでで…more
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喪失が連鎖する時代の怖さ 『つけびの村』
2019年12月17日本書は、発生当時「平成の八つ墓村」として話題になった、2013年に起きた連続放火殺人事件を追ったルポである。地道な取材によって知り得…more
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『聖なるズー』動物性愛者に密着取材!近来稀な問題作
第17回開高健ノンフィクション賞受賞作『聖なるズー』は動物(主に犬や馬)をパートナーにして、性生活も共にするという世界唯一の動物性愛…more
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『我々は生命を創れるのか 合成生物学が生みだしつつあるもの 』生命を司るメカニズムの「多様性」
2019年12月14日生命の起源は現代科学の最重要テーマの一つである。地球上の生命は今から38億年ほど前に誕生し、幾多の進化を経て我々人類まで継続してきた…more
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『しらふで生きる 大酒飲みの決断』生きることは寂しい、だからこそ酒を断つ
30年間毎日欠かさずに酒を飲み続けてきた作家、町田康の断酒エッセーである。こう書くと酒をやめて健康になった暮らしぶりを健やかにつづっ…more
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日本の科学は失速状態 『誰が科学を殺すのか 科学技術立国「崩壊」の衝撃』
日本が科学立国というのは看板だけなのか。海外の諸国に比べ、この十数年の間、日本の科学は失速したかのように下降の一途を辿っている。何が…more
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『宇宙から帰ってきた日本人』あの名著から36年、宇宙は近くなりにけり
2019年12月12日1983年、知的欲求旺盛なあるジャーナリストが一冊の本を上梓した。それは、米ソが宇宙開発戦争に明け暮れていた時代、母なる地球を離れ、…more