人物
-
ちばてつやの見た中国 『ひねもすのたり日記』
2019年02月13日ちばてつや。そう、あの『あしたのジョー』などの傑作を描いた、漫画家だ。最近はどうされているのかと思いきや、「18年ぶりの最新作」とうたっての自伝が刊行されていた。文字が多めの漫画、という風で、往時が生き生きと蘇る。描かれているのは、少年時代の……more
-
『BL古典セレクション2古事記』八百一万(やおいよろず)のボーイズラブ!
今回ご紹介するのはシリーズ第二弾、海猫沢めろん訳『古事記』。めろんさんのテンポ良くユーモラスな文体は、トンデモ設定の多い『古事記』と相性がいいはず……とお願いしたところ、これが予想以上のハマり具合でした。…more
-
『新天皇 若き日の肖像』
2019年02月03日新天皇の時代。これから始まる、その時代に日本は、世界は、どうなっていくのだろうか。どう変わっていくのだろうか。そして、皇室と様々なメディアはどう関わりあっていくのだろうか。興味や関心は尽きない。同時に私自身もメディアで働くものの一員として、そ……more
-
『辞書編集、三十七年』ことばを編むとき、人間模様が見えてくる
1980年の春に小学館系の出版社に就職し、辞書編集部に籍を置き、以後異動することなく辞書を編み続け、2017年に定年退職した。華やかな仕事ではないし、起伏に富んだ人生だったわけでもないが、世の中に辞書一筋の編集者がそんなにもいるとは思えないの……more
-
実録自伝!旧ソ連の女ゴルゴ13 ”最高の女性狙撃手 レーニン勲章を授与されたリュドミラの回想”
2018年12月27日すごい本だ。もしこれが小説なら、荒唐無稽と片付けられてしまうに違いない。ノンフィクションの醍醐味をこれほど味わえる本はない。旧ソ連、ウクライナ生まれの女性狙撃手、リュドミラ・パヴリチェンコの自伝である。第二次世界大戦の初期、わずか一年ほどの間……more
-
「歩くたびにおっぱいが大きくなるマシーン」の発明家が綴る『無駄なことを続けるために -ほどほどに暮らせる稼ぎ方-』
200以上の「無駄なもの」をつくり、YouTubeで6万人以上、Twitterで5万人近いフォロワーを誇る、発明家の藤原麻里菜さん。捻くれていたり鬱屈としている自分を、「無駄づくり」を通して笑いに昇華させてきた彼女の、つっこみたくなるほどに真……more
-
巨人の肩に乗って 『感動の創造 新訳中村天風の言葉』
2018年12月09日経営者や一流アスリートに関する報道で、天風の名を目にしたことがある方は多いのではないだろうか。わざわざマインドフルネスを逆輸入しなくても、日本には、こんな凄い人がいたのだ。そこから学ばない手はない。ただ、そこには少し壁がある。時間や言葉の問題……more
-
『深淵の色は 佐川幸義伝』ー合気武術の深奥に触れる津本陽の遺作
2018年5月26日、多くの武道小説を書き続けてきた津本陽が急逝した。本書はその遺作となったの、合気の達人「佐川幸義」の評伝である。 異色であると同時に大変な力作であるこの本は、武術の極意を小説で表そうとした小説家が、実際に合気という神技の……more
-
俵万智の『牧水の恋』は、まるで恋愛ミステリーだ
2018年11月23日酒と放浪。若山牧水の歌といえばこの二つだろう。しかし、若いころには恋の歌をたくさん詠んでいる。たくさんの恋の歌から、俵万智さんが牧水の心の動きを読み解いていく。それを、記録に残る当時の行動と照らし合わせ、ふたりの間に何があったかをひもといてい……more
-
『ナナメの夕暮れ』どのエピソードも「最後の一行」が素晴らしい
2018年10月24日こんな素敵な文章を書く人だったのか。仕事場での顔しかお互い知らないもんです。なんと若林さんはキューバ一人旅について書いた紀行エッセイ集『表参道のセレブ犬とカバーニャ要塞の野良犬』で今年の斎藤茂太賞を受賞、すでに立派な文筆家になっていたのでした……more
-
うわっ!ボーイズラブになっとるやんか 『竹取物語、伊勢物語』
ご存じ、竹取物語と伊勢物語の現代語訳です。しかし、ひと味違います。なんと、ボーイズラブに翻案されてるんです。読みやすいように話の微調整もおこなわれて、ストーリー性も向上。なんやねんこれは、と思いながら読み始めたんですけど、感情移入しやすいし、……more
-
『こころ傷んでたえがたき日に』村上春樹もそこにいた
2018年09月25日国分寺の書店主。かつて書店の斜向かいでジャズ喫茶を営む若い夫婦がいた。書店主と夫婦は同年代ということもあり、3年にわたり親交を深めた。夫婦は千駄ヶ谷に店を移し、店主が体調を崩したこともあり、交流は途絶える。夫はしばらくして『風の歌を聴け』とい……more
-
『硯の中の地球を歩く』1億年前の原石に命を吹き込む無名の名工の誇りと決意
端正な本だ。カバーと帯を取りはずすと、表紙には原寸大に近い一面の硯が刷られている。装丁だけでなく、紙質や印刷も素晴らしい。ゆっくりと味わうように読んだ。著者は書道道具店の四代目。浅草の店では定番の筆や墨なども取り扱っているが、高級な硯は代々の……more
-
『ああ栄冠は君に輝く~加賀大介物語~』
2018年08月21日甲子園の定番メロディー「栄冠は君に輝く」だ。「雲は湧き、光あふれて…」ではじまる詩は、高校球児や高校野球ファンには定着した、つい口ずさんでしまう歌詞である。しかし、その作詞を担当した加賀大介は一度も甲子園を訪れていない。…more