人物
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『しゃにむに写真家』小学校教員から写真家に、「いばらの道」で何を撮るか
2021年04月10日「今の仕事をこのまま続けるつもり?」。妻のその一言で人生が思わぬ方向へと動いた男のエッセイだ。 なるほど、妻にここまで言わせるとは、この男、芽の出ないアーティストか何かだろうか。そう思う人も多いかもしれない。しかしそうではない。著者の吉……more
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奇跡の付き人、げそ太郎 『我が師・志村けん』
2021年03月29日昨年、新型コロナで急逝した「笑いの王様」志村けん。本書は、1994年から7年に渡ってその付き人を務め、朝から晩、海外ロケまで同行した著者が師匠の姿を振り返ったものである。運良くドライバーとして採用された若き日。「笑いは正解のない世界だから、俺……more
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『起業の天才!』リクルート創業社長、江副が社会を不安がらせた理由
世代的に、リクルート事件のことを知らない。むしろ、就職氷河期世代の私にとってのリクルートといえば、「エリート学生を超青田買いしている会社」といった印象だ。…more
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『潜匠 遺体引き上げダイバーの見た光景』宮城の海に潜り続けた男の濃密な半生を描く評伝
その人にしか語り得ない境地というものがある。人生は十人十色だが、特殊な技能が必要で、なおかつ特異な環境に我が身を起き続けた人の軌跡はとりわけ面白い。本書は、若くして潜水の才能を発揮し、宮城の海から無数の遺体を引き上げてきた男・吉田浩文の濃密な……more
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『堕ちたバンカー 國重惇史の告白』「住銀を救った男」が銀行を追われた理由に迫る
2021年02月20日著者は國重氏の部屋で銀行時代の辞令をいくつも見つける。そして、本書の最後で國重氏に問いかける。なぜ銀行を離れなければならなかったのか。本当に私生活の問題からなのか。銀行を誰よりも愛し、出世レースの先頭を走っていたのに、後悔はないのか。果たして……more
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『鬼才』不世出の編集者の知られざる生涯
「◯◯の天皇」という形容がある。出版界にはかつてこの呼称がぴたりと当てはまる人物がいた。 「新潮社の天皇」、齋藤十一である。齋藤は伝説の編集者だ。その業績でもっとも有名なのは雑誌ジャーナリズムへの貢献だろう。1956年(昭和31年)に『週刊……more
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音楽で生きる、東京で生きる。『調子悪くてあたりまえ 近田春夫自伝』
2021年02月07日近田春夫を知っている人は、すでに読んだにちがいない。知らない人は、いますぐ読んでほしい。音楽で生きる、東京で生きる、その2つを味わえる。日本のロック、パンク、ヒップホップ、さらにはJ-POPやCM音楽まで網羅した音楽史であり、東京でクールに生……more
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ギネスに届け!爆笑『明石家さんまヒストリー1、1955~1981 「明石家さんま」の誕生 』
2021年01月27日タモリ、たけしとならびお笑いビッグ3と称される明石家さんま。その長大な伝記の第一巻である。奈良で育った杉本高文がお笑いに目覚め、笑福亭松之助に弟子入りして明石家さんまとなり、「おれたちひょうきん族」に出るまでの物語。膨大なインタビューが爆笑を……more
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『オードリー・タン 自由への手紙』天才デジタル担当大臣が日本に贈るロードマップ
2021年01月16日新型コロナ禍でのマスク不足対策で大成功を収め、世界的な脚光を浴びたのが、ジェネレーションYと呼ばれる若い世代を代表する、台湾の「天才デジタル担当大臣」である。そんな39歳のオードリー・タンが、本当の自由とは何か、どうしたら手に入れることができ……more
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おばちゃん牧師の激烈な愛@西成 『愛をばらまけ』
2021年01月09日本書は、大阪・西成の小さな教会で、約20人の信徒たちとともに生き抜く女性牧師を描いたノンフィクションである。いや、そんな説明ではミスリードをまねく。教会といっても床が抜けた古い中華料理店の居抜き物件だし、主役は1950年生まれのおばちゃん牧師……more
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最強&最恐のアートディレクターは時代を超える『TIMELESS 石岡瑛子とその時代』
2020年12月27日アートディレクター・石岡瑛子。資生堂宣伝部から、渋谷パルコ、そして、コッポラ映画やシルク・ドゥ・ソレイユ、北京五輪での衣装。時代を超えたデザインを次々と成し遂げた石岡とはどんな人だったのか、そしてその仕事の進め方は。本人の言葉や数多くの証言を……more
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『エデュケーション 大学は私の人生を変えた』成長か、それとも変節か。悲哀と戸惑いの成功譚
2020年12月26日モルモン教原理主義のサバイバリストである反政府的な両親の下、学校や病院とは無縁の環境で育った少女が、やがて大学に進学することで成長。ついには英ケンブリッジ大や米ハーバード大で学ぶようになり、学位も取得する。 本書は、そんな彼女の半生を綴った……more
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『喧嘩の流儀 菅義偉、知られざる履歴書』「ガースー」を笑えたら・・・。
2020年12月23日「鬼滅の刃」にあやかって「全集中の呼吸で」を国会答弁でつかったときも、菅総理は「すべった」。つまらないから、だけではない。「2020年」は、コロナのせいで「絶対に笑ってはいけない1年間」だったからだろう。本書に書かれているのは、そんな2020……more
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『浪花節で生きてみる!』女一匹、魂の咆哮
私にとっての奈々福さんは浪曲師であり、大衆芸能の探究者である。奈々福さんの浪曲を聞いたのはまだ10回に満たないので、ファンです、というのもはばかられる。 その奈々福さんが初めて書いた本は、まあ、面白かった。まずは聞くべき浪曲の数々を丁寧に解……more
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『AとZ アンリアレイジのファッション』新刊超速レビュー
ファッションが突然、僕を襲った。それまでにない感覚だった。「ファッションには伝える力がある。そして伝わる力がある。服は言葉を持つ」。そんなことを考えたことはかつて一度もなかった。 アンリアレイジのデザイナーである森永邦彦が、彼のファッション……more