さてさて、ついに冬木糸一のパソコンのおかげで上映開始!
みんながウキウキ画面を見つめるなか、峰尾健一が鞄に手を伸ばしています。
集中力が足りないぞ、峰尾くん!…と思ったら、不敵な笑みを浮かべながら鞄から取り出したのが…太鼓。
え、持ってきたの?というか、会社にも持って行ったの??
…と思ったら、「いやぁ〜今日休んだんです。会社帰りだと間に合わないので」。有給まで取るなんてどれだけバーフバリ愛が強いんだ…!!!
さて、まだご紹介できていなかったですが、今回実は特別ゲストにもご参加いただきました!比較神話学、特にインド神話を専門としている沖田瑞穂さん。
『バーフバリ』はインド二大叙事詩の一つ「マハーバーラタ」をモチーフにして作られた作品ですが、そのマハーバーラタについて論考した『マハーバーラタの神話学』を著していたり、雑誌『ユリイカ 2018年6月号』のバーフバリ特集にも、神話学の観点から見たバーフバリの面白さについて寄稿していらっしゃいます。詳しくは、内藤編集長によるこちらの記事をご覧ください。
沖田さん、現在バーフバリをテーマにした学術論文を執筆中とのことで、最新のフレッシュな論考まで、「論文ネタなのでオフレコですが…」と前置きした上で、たっぷりと語ってくださいました!
ちなみに沖田さん、HONZのファンだとも仰ってくださり、特に、酔いどれメルヘン栗下直也の大ファンとのことでした。幸か不幸か(?)この日は欠席でしたが。(出席していたら、映画そっちのけで飲んで寝ていたことでしょう…)
異常なテンションのHONZメンバーに、最初は緊張した面持ちだった沖田さん。
しかし気づけば自ら鈴をもって、画面に食らいつきながらバーフバリに愛を送っていました。
ではさっそく沖田さんからのバーフバリ豆知識その1!
バーフバリの「バーフ」は腕を意味していて、腕が強いことを表していると思われる。不思議なのは、「バリ」。これは有名な悪魔の名前。そして悪役とも言える敵方のバラーラデーヴァ。この「デーヴァ」はサスクリットで神を意味する。つまり、善者が悪魔の名前をもち、悪者が神の名前をもつ、不思議な対立関係になっている。
名前続きで…
父であるアマレンドラ・バーフバリの「アマレンドラ」は「アマラ」と「インドラ」に区切れ、「不死なるインドラ」を意味し、子供のマヘンドラ・バーフバリの「マヘンドラ」は「偉大なるインドラ」を意味していると思われる。インドラは日本語で帝釈天と呼ばれている神様で、雷神にあたる。アマレンドラからマヘンドラヘの生まれ変わりを象徴するシーンで雷が鳴るのは、インドラを表しているのではないか。
アマレンドラ・バーフバリの妻であり、マヘンドラ・バーフバリの母にあたるデーヴァセーナ。「デーヴァ」は神を表し、「セーナ」は強い軍隊を意味する。とても強い名前。
あわせて他の登場人物に関する沖田さんのコメントもご紹介。
バラーラデーヴァの父にあたり、バーフバリを蹴落とそうとするビッジャラデーヴァ。彼は生まれつき手に障害を持っていて、それが原因で王位につけなかったと恨みつらみを言っている。マハーバーラタにも盲目の王が登場し、その人物とビッジャラデーヴァがリンクしているのではないか。
ちなみに、写真だとよく見えないかもしれないですが、額には三叉の鉾のマークがついています。これはシヴァ神の特徴的な武器なのだそう。
デーヴァセーナの従兄であるクマーラ・ヴァルマ。バーフバリのなかでは、臆病な王子として描かれているが、「クマーラ」はシヴァ神の息子の一人と同じ名前。
ちなみに、クマーラが従妹デーヴァセーナに妊娠のお祝いを贈るシーン。「虎の子には虎の皮を…」といって持ってきた毛皮を見た塩田春香が即座に、「これ、虎じゃなくて豹ですよね」と冷静にツッコミを入れていました。さすがHONZの“いきものがかり”。動物に関わるところには余念がありません。ただ、沖田さんによると、テルグ語では虎と豹を同じ言葉で呼ぶのかもしれない、とのことでした。
そして、登場するごとに「仲野先生〜〜!!」とみんなからコールがかかっていたカッタッパ。
沖田さんは「非常に興味深い」と。インドの神話には登場しないけれども、インド・ヨーロッパ部族の神話に登場する、“戦士の通過儀礼に関わる存在”かもしれないとのことでした。
仲野徹…じゃなくてカッタッパの家臣としての顔と“父”としての顔のバランスも見どころの一つです。
さて、映画だけでは分からない様々な視点を教えてくださった沖田さん、最初は地声で頑張って話していらっしゃったのですが、バーフバリの大音量音楽にかき消されて聞こえず…。
そういえばここはカラオケショップではないですか!…というわけで、マイク登場〜!
がしかし、ここで再び問題発生!なぜかマイクが沖田さんの声を拾わない!隣の内藤順がしゃべると一発でスイッチが入るのに…。
沖田さんしゃべる→音が出ない→内藤順にバトンタッチ→音が出る→沖田さんに戻す→音が出ない・・・という繰り返しを、この夜だけで10回ほどやりました(笑)。
一方、声の大きさHONZ 1の内藤編集長は、地声で「はーい!ここから注目シーンですよー!」「はい!今ご飯チャンス!今のうちにかき込んで!」と、まるでバスガイドのように逐一アナウンス。すでに7回も観ているので、完全にストーリー展開が頭に入っているのでしょう。
そしてそれに素直にしたがってご飯をかきこむメンバーたち。
それを見た内藤編集長がまた「俺が指示しないとみんな何もできないから〜」と嬉しそう…。気合いが入ると、思わず身を前に乗り出してしまうため、ちょうど画面と自分の間に内藤順が座っていた新井文月は、「半分以上、内藤さんを見ていた気がする…」と、最後にぼやいていました。
「はい!ここ盛り上がるシーンね〜!」という内藤順のガイドによって、ノリノリになっているHONZメンバーの様子を(暗いですが)お見せしておきましょう。
現在「バーフバリ」を上映中の映画館では、「絶叫上映」など、音や声を出してOKな日も設定されているようですが、個人的にはこのHONZメンバーたちのように、“発散”しながら見た方が、何十倍も楽しめるのではないかと思います。
ちなみにHONZメンバーの一番お気に入りの歌はマヒシュマティ王国の国歌。「かっこいい〜!」「最高!」という一同の声に、代表・成毛眞が「替え歌にしてHONZのテーマ曲にしようか」と言っていたほどでした。
バーフバリの戴冠シーンで、国民たちが「バーフバリ、万歳!バーフバリ、万歳!」と掛け声をあげているときも、一同、「バーフバリ、最高!バーフバリ、最高!!」と一緒に声をあげていたくらいなので、もはやみんなマヒシュマティ王国の国民になっている気分なのでしょう…。