日本史
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『国道16号線―「日本」を創った道―』多数アーティストも輩出
著者は恩師である慶応義塾大学・岸由二名誉教授の「流域思考」をベースに、16号線を長年調査した結果をまとめた。日本には約1万4000の一級河川があり、あらゆる土地はどこかの流域に属している。旧石器時代以来、山と谷と湿原と水辺がセットとなった小流……more
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『諏訪式。』日本有数のクリエイティブな土地の秘密
長野県の諏訪は、諏訪湖を中心に八ヶ岳や霧ヶ峰も含んだ広大な地域だ。中央構造線とフォッサマグナが交わるところであり、縄文の時代から人々が暮らし、諏訪信仰がいまも息づく地でもある。驚くことに、この諏訪地域には、2000社を超える「ものづくり企業」……more
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『剱岳—線の記』古代日本のファーストクライマーを探せ!
新田次郎の『劒岳〈点の記〉』は、日露戦争直後、前人未到とされた北アルプスの剱岳(標高2999m)の登頂に挑んだ測量官を描いた山岳小説の傑作である。 剱岳は当時未踏峰とされ、日本陸軍参謀本部陸地測量部の柴崎芳太郎率いる測量隊が命がけの登頂に臨……more
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戦後75年、今も新たな真実が!
終戦記念日も今年で75回目。既に歴史になりつつある第2次世界大戦だが、新たに明らかになる真実もある。 『証言 沖縄スパイ戦史』は新書で750ページという厚さに度肝を抜かれる。民間人を巻き込んでの激戦となった沖縄戦末期には少年たちも作戦に動員……more
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『地形の思想史』岬、峠、島、麓、湾、台、半島、地形が生んだ多様な日本
2020年01月18日本書は、高畠通敏の仕事から大きな影響を受けたという著者が、さまざまな場所を歩き、地形と思想の関係を考察した一冊である。目次には、「岬」とファミリー、「峠」と革命、「島」と隔離、「麓」と宗教、「湾」と伝説、「台」と軍隊、「半島」と政治、とユニー……more
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『地図と読む 現代語訳 信長公記』さらに読みやすくなった"信長の一代記"の現代語訳
著者太田牛一は長寿の人であった。名古屋市北区に生まれ、大阪市中央区で亡くなった。享年86。死因はインフルエンザをこじらせたためだといわれる。牛一は信長の家臣であったから、褒めこそすれ、評伝作家のような批判精神は持たない。淡々と事実を書き連ねる……more
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『暴力と不平等の人類史: 戦争・革命・崩壊・疫病』平等は破壊の後にやってくる
ものすごい本だ。まずはページ数。索引と原注だけで141ページ。本文582ページ。重い。次は帯。「核戦争なき平等化はありえるか?」という文章が美しい縦書きで書かれている。不意をつかれてギョッとする。横書きには第二次世界大戦、毛沢東の「大躍進」、……more
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『兵士に聞け 最終章』「戦後」を旅した24年
2019年08月14日杉山隆男の自衛隊の旅は長く多彩であった。レンジャー訓練をはじめ、空自のF-15、海自の哨戒機P-3Cに試乗した。すさまじいGに押し付けられて気を失いかけ、急角度の上昇と下降に嘔吐した。横須賀から海自の潜水艦に乗り組み、日焼けしない海の男たちと……more
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『今日われ生きてあり 知覧特別攻撃隊員たちの軌跡』
2019年07月30日思い切って告白するのだが、私はこの本を泣きながら読んだ。はじめてこの本を読んだとき、書斎で嗚咽した。号泣しそうだったが家族をおどろかせるのをはばかって声を殺して泣いた。なみだが幾度も流れた。…more
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『少年ゲリラ兵の告白 陸軍中野学校が作った沖縄秘密部隊』
2019年07月29日本書は2015年に放送されたNHKスペシャル「アニメドキュメントあの日、僕らは戦場で〜少年兵の告白〜」の取材記録をあらためて書き起こしたものである。番組は戦後70年という節目に制作されたが、不覚にも、僕はこのドキュメントを見て「護郷隊」の存在……more
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忘れ去られしカオスな物語群にどっぷり浸かる『「舞姫」の主人公をバンカラとアフリカ人がボコボコにする最高の小説の世界が明治に存在したので20万字くらいかけて紹介する本』
もうタイトルからして「なんじゃこりゃ」だが、読み終わっても「なんじゃこりゃ」である。でも面白いんだから書評するより仕方ない。本書(通称・まいボコ)を一言で説明するならば、明治時代、夏目漱石や森鴎外といった純文学作家の作品よりも人気を博した忘れ……more
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祝 復刊!!『戦後最大の偽書事件「東日流外三郡誌』
2019年05月16日『東日流外三郡誌』は「青森の旧家から見つかった、大和朝廷に対抗した豪族の記録」で、発見当時から真偽が問われていると聞いていた。 専門家から見ればバカバカしいの一言で終わることが、普通の人々にとっては壮大なロマンとして受け入れられる。本書はそ……more
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日本医学の大恩人になりかけた男『ウイリアム・ウイリス伝』
明治政府は、薩摩藩と関わりの深かった英国人医師ウイリアム・ウイリスを軸にして、日本に英国流の医学を導入しようとする。しかし、最後の最後で、ドイツ医学へと舵が切られた。薩英戦争、戊辰戦争を経験し、東京医学校兼病院(東京大学医学部の前身)から鹿児……more
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では、あの犠牲とは何だったのか?『生かされなかった八甲田山の悲劇』
日露戦争を前にした訓練で、厳冬期の青森県八甲田山麓に入った陸軍歩兵第五連隊が遭難。199人もの死者を出した、八甲田山雪中行軍遭難事故。大惨事の教訓は、その後の日本に生かされたのか? それが『八甲田山消された真実』の続編にもあたる本書のテーマで……more